雅子さまゆずりの生き物好き
敬宮殿下の生き物好きは、母親でいらっしゃる皇后陛下ゆずりという面もあるだろう。皇后陛下は田園調布雙葉小学校時代には生物部のリーダーでいらした。
当時、生物部の顧問だった岸田泰則氏は、皇后陛下のご養蚕について次のように述べておられた(『文藝春秋』令和元年[2019年]11月号)。
平成の一時期、心ない“雅子妃バッシング”が皇后陛下を苦しめた。それが現在まで続くご療養の原因になったことは改めて言うまでもない。その頃の根も葉もない「風評」の一つが、岸田氏が紹介しているものだ。皇后陛下がいかに生き物好きでいらっしゃるかを熟知している同氏としては、ただただ「呆れ」るしかなかっただろう。
バッシングを乗り越えて
一部のメディアによる皇后陛下への理不尽で無責任なバッシングが続いていた時期、天皇陛下も敬宮殿下もどれだけお辛い思いをされただろうか。国民の1人として申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
しかし天皇陛下ご一家の皆様は、そうしたお辛い時期を心を一つにして忍耐強く乗り越えられた。敬宮殿下が成年を迎えられた際の記者会見でお見せになった優美でチャーミングなお姿から、ご家族が皆様、今は幸せに満ちた日々を送っておられることを、はっきりと拝察できる。
「両親は、私の喜びを自分のことのように喜び、私が困っているときは、自分のことのように悩み、親身に相談に乗ってくれるような、私がどのような状況にありましても、一番近くで寄り添ってくれるかけがえのない有り難い存在でございます」
先日の記者会見での敬宮殿下のこのようなご発言に照らし合わせて、ご家族そろってのご養蚕作業が、伝統的に受け継がれてきた皇室の大切なお務めでありながら、皆様にとってどれだけ楽しく、幸せな時間であったか、たやすく想像できる。その後、6月11日にも、繭の周囲の毛羽を取る「毛羽取り」や繭の中で成虫になった蚕が外に出やすくなるように繭の両端を切る「繭切り」などの作業を、ご家族総出で行われている。