これまでにない独創的な製品で市場を開拓するテーラーメイド。どのような戦略、理念でビジネスを進めているのか。マーク・キングCEOに聞いた。
──世界のゴルフ用品市場において、好調な業績を維持されています。要因はどこにあるとお考えですか。
キング おかげさまでテーラーメイドは、2010年、そして2011年と、前年比プラス20%程度の成長を達成することができました。一番の要因は、やはりいくつもの革新的な製品を市場に投入できたことでしょう。
例えば、昨年発売したヘッドの白いクラブもその一つです。このクラブは日本を含め世界中で非常に多くの支持をいただきました。2011年、日本におけるドライバーの販売シェアでテーラーメイドは第1位となりましたが、それにもこのクラブが大きく貢献しています。
──その白いクラブヘッドについて、当初、大反対したとお聞きしました。
キング おっしゃるとおりです。あまりにラジカルで、リスクが大きすぎる。最悪のアイデアだ、というのが第一印象でした。しかし一方で、社内からこうした大胆な提案が出される状況というのは、まさに私自身が求めているものでもあったのです。
1999年にCEOに就任して以来、私が一貫して重視しているのは、社内を"創造的な環境"にすることです。社員一人ひとりが自由に意見を述べ、皆でそれを共有しながら、斬新な製品や販売手法などを生み出していく。また、単に上からの指示に基づいて動くばかりでなく、社員自ら意思決定に関与する。テーラーメイドのそうした社風を強化していくことが私の大切な仕事の一つだと考えています。
なぜなら現在、市場からの要請は非常にシビアになっています。常に新しい価値を提供し続けなければ、ブランドの存在感はすぐに低下してしまう。そうした厳しい状況のなかで、イノベーティブな事業を継続していくためには、リーダーシップを"分散"することが重要になります。限られた経営陣だけで事業をマネジメントするのでなく、多くの社員のアイデアを事業活動に生かしていく必要があるのです。