男性側の過剰反応
一方で、「羹に懲りて膾を吹く」とでもいうように、男性の側に過剰反応も起きるようになった。よくあるのは、男性上司が女性の部下と一対一で飲みに行くような誘いをしなくなるというケースだ。それで仕事に支障が出ない職種や職場ならば一向に構わないが、新聞記者の場合は困ることもある。
例えば、機微に触れるネタを追っていて、その日のうちに内密に打ち合わせが必要になるようなケースだ。忙しくて時間のない中で、食事の時間を打ち合わせに充てるしかなく、「それじゃあ仕事が一段落したところで、晩飯を食いながら打ち合わせしよう」となるのだが、それが男女一対一だと、やりにくいという場面が出てきた。私は全く意識していなかったのだが、ある時期から急に上司から飲みに誘われなくなったことがあり、「どうしたのか」と聞くと、「いや一対一はまずいかなと思ってね」と言われて、驚いたことがある。仕方ないと思って放っておいたら、何も状況は変わっていないのに、また普通に誘われるようになった。男性の側も、迷いながら対応しているということなのだろう。
「働く男女の比率」が近づけば解決される
直接的な仕事の話ではなくても、いわゆる「飲みニケーション」として、時には酒を一緒に飲みながら話をするのも必要なことだ。大勢で飲めばいいではないかと言われるかもしれないが、酒を飲もうが飲むまいが、本当に重要な話は「一対一」のサシでするというのは、特に私たち新聞記者には染みついている。そこで、女性ばかりが誘われないというのは、問題が生じる。
ただ、こうした問題も、女性が少数派だから起きることだ。男女の比率がもっと近づけば、お互いに注意しながら付き合うことになり、一方的に女性が飲み会に誘われなくて不利になるということはなくなっていくのではないだろうか。もちろん、女性上司から男性の部下へのセクハラにも、これまで以上に注意を払わなければならない時代に入っていくだろう。