「紙を片づける」と転職する人が一定数いる

片づけを終えると、転職する方がけっこういらっしゃいます。

ある生徒さんは、毎日2時間かけて会社に通っていました。満員電車に揺られて帰ってくると、くたくたなので、晩御飯はスーパーのお惣菜が常。ストレス発散のため、ネットで爆買いを繰り返し、モノは増えるいっぽう。そして、散らかった家にいたくないから、毎週末どこかに出かけて、レジャー費だけで1カ月に5万~6万円は使っていました。

石阪京子『人生が変わる紙片づけ!』(ダイヤモンド社)
石阪京子『人生が変わる紙片づけ!』(ダイヤモンド社)

でも、モノを片づけ、紙を片づけ、お金の流れを見える化した結果、彼女は会社を辞めたのです。遠い会社に勤めていることで、ストレスと疲労が溜まることが諸悪の根源だとわかったからです。

そして、それらの無駄使いがなくなれば、正社員のお給料がなくても、なんとかなるのではということで、近所でパートを始めました。

子どもたちも、ずっと寂しい思いをしていたようです。でも、転職した今は、いっぱいいっぱいだった気持ちにゆとりが生まれて、ご本人にも笑顔が増えました。そして、ちょっと微妙な関係だった旦那様との会話も増えて、家族仲が以前よりもよくなったそう。子どもたちもうれしそうに、家事を手伝ってくれるそうです。

この方に限らず、紙片づけをしたことで、生活を見直し、人生をコントロールできるようになる方はたくさんいます。車を処分したり、お稽古ごとを見直したり、ヨガの先生をオンラインで始めたり、副業を始めたり。

それもこれも、片づけたことで、家計や暮らしを見つめ直すことができたからです。

むしろ、これをするために、片づけていると言えます。

モノを手放して、紙を捨てて、ただきれいな家にするだけでは、なんの意味もありません。そこで、何かが変わるから。生き方や、家族関係、お金の使い方などが全部変わるから、片づける意味があるのです。

片づけて、悪いことは何一つありません。私の人生、すっきり明快、答えが出ましたという感じ。

片づけの向こう側に、みんなで一緒に行きましょう。

石阪 京子(いしざか・きょうこ)
片づけアドバイザー

宅地建物取引士。JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片付けができないと諦めている多くの人に出会う。自分にできることはないかと女性目線での建築設計、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけを提案。独自のメソッドは、一度やれば絶対にリバウンドしないのが特徴で、これまで様々な片付け法を試したり、プロに頼んではリバウンドを繰り返してきた人たちの「最後の駆け込み寺」となっている。