仕事に家事、突発的なトラブルの対応……、さまざまなことに追われるように日々が過ぎていく。どうすれば時間に追われない人生を送れるのでしょうか。片づけアドバイザーの石阪京子さんは「紙を片づけると1日3時間は浮いてくる」とアドバイスします――。

※本稿は、石阪京子『人生が変わる紙片づけ!』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

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紙を片づければ、1日が27時間になる

モノはもちろん、紙が片づいていると、あらゆる時間が浮いてきます。

片づけにかかる時間、モノを探す時間、掃除にかかる時間、買い物する時間、料理する時間、銀行に行く時間、行動を起こすまでの時間……など。

私の提案する「人生が変わる紙片付け!」術をすべて取り入れていただいたら、1日3時間は浮いてくるのではないでしょうか。

片づけにかかる時間は、もちろん減ります。紙の行き場が決まっているので、ルール通りに手を動かすだけ。どこに置くか迷う時間は生じません。

毎日、書類探しに20分も使っている私たち

探す時間もなくなります。コクヨが2017年に、有職者1031人を対象に行った調査によると、1日のうちに書類を探す時間は約20分だそうです。ただし、これは仕事中を対象にした調査のようなので、家の中で探す時間も加えると、もっと多いでしょう。ホームファイリングをして、置き場所がわかっていれば、このような探す時間は生まれません。

紙の山をどかしたり、溜まったホコリをはたいたりする掃除の時間もほぼなくなります。アプリを活用することで、買い物や料理、銀行に行く時間なども大幅にカットできます。

また、暮らしがスムーズに回っているおかげで、フットワークも軽くなり、どうしようかなと迷う時間もなくなります。

私がなぜ、紙を片づけているのかというと、自分の時間と頭の中を空けるためです。

今、あなたは紙に人生をコントロールされていないか

私は2年前から、毎朝ジョギングを20分しています。仕事もありがたいことに、ブログを書いたり、トークイベントの準備をしたり、生徒さんたちと常時LINEでやりとりしたり、こうして書籍も作ったり、色々なことをさせていただいています。もちろん家事もしていますし、母の介護もあります。でも、「先生って、めちゃくちゃいろんなことをしてるのに、そんなに忙しそうに見えないですよね」と言われます。

それもこれも全部、家が片づいているおかげです。書類はシステム化されているので、夫婦で共有しています。いつ、どんな紙が届くかもわかっているから、紙の都合に振り回されて、慌てて支払いに行くこともありません。その都度、頭を使う必要はなく、体を動かすだけ。だから、時間も頭の中も余裕が生まれるのです。

今、あなたは紙に人生をコントロールされていないか

紙の片づけができないと、紙にコントロールされる状態が続きます。

書類の山がダイニングテーブルに載っているから、家族で食卓を囲めない。埋もれていた支払いの紙を見つけて、慌てて払いに行く。督促状に気づかずブラックリスト入りをして、ローンを組めなくなる……など。日常的なことから、人生に関わる大きなことまで左右されてしまいます。

でも、片づけると変わります。

ホームファイリングをして、紙一枚までありかを把握できるようになると、手に入るのは「時間もお金も、自分でコントロールできている」という安心感と達成感。

紙の都合で予定を変更することはないし、探し物に費やす時間もありません。

財産を把握したことで、日々のやりくりもラクになり、将来設計も立てやすくなります。

すべて、自分次第。

人生のかじ取りをしているのは、自分だというコントロール感が手に入るのです。

「紙を片づける」と転職する人が一定数いる

片づけを終えると、転職する方がけっこういらっしゃいます。

ある生徒さんは、毎日2時間かけて会社に通っていました。満員電車に揺られて帰ってくると、くたくたなので、晩御飯はスーパーのお惣菜が常。ストレス発散のため、ネットで爆買いを繰り返し、モノは増えるいっぽう。そして、散らかった家にいたくないから、毎週末どこかに出かけて、レジャー費だけで1カ月に5万~6万円は使っていました。

石阪京子『人生が変わる紙片づけ!』(ダイヤモンド社)
石阪京子『人生が変わる紙片づけ!』(ダイヤモンド社)

でも、モノを片づけ、紙を片づけ、お金の流れを見える化した結果、彼女は会社を辞めたのです。遠い会社に勤めていることで、ストレスと疲労が溜まることが諸悪の根源だとわかったからです。

そして、それらの無駄使いがなくなれば、正社員のお給料がなくても、なんとかなるのではということで、近所でパートを始めました。

子どもたちも、ずっと寂しい思いをしていたようです。でも、転職した今は、いっぱいいっぱいだった気持ちにゆとりが生まれて、ご本人にも笑顔が増えました。そして、ちょっと微妙な関係だった旦那様との会話も増えて、家族仲が以前よりもよくなったそう。子どもたちもうれしそうに、家事を手伝ってくれるそうです。

この方に限らず、紙片づけをしたことで、生活を見直し、人生をコントロールできるようになる方はたくさんいます。車を処分したり、お稽古ごとを見直したり、ヨガの先生をオンラインで始めたり、副業を始めたり。

それもこれも、片づけたことで、家計や暮らしを見つめ直すことができたからです。

むしろ、これをするために、片づけていると言えます。

モノを手放して、紙を捨てて、ただきれいな家にするだけでは、なんの意味もありません。そこで、何かが変わるから。生き方や、家族関係、お金の使い方などが全部変わるから、片づける意味があるのです。

片づけて、悪いことは何一つありません。私の人生、すっきり明快、答えが出ましたという感じ。

片づけの向こう側に、みんなで一緒に行きましょう。