サイドFIRE後の資産管理は「見える化」で解決

サイドFIREを実現した後は、これまで一定の投資額を入金するだけだったのが、資産から出金する状況となります。当然、4%ルールを超えて出金すると元本を取り崩す状況になりかねず、得られる運用益が減ってしまいます。FIRE資産からの出金は厳格にする必要があります。

資産管理は家計簿アプリ「マネーフォワードME」を用いると便利です。複数の口座情報をひとつに集計し、預金、株式、投資信託など項目ごとにポートフォリオを作成できます。資産推移も確認できるので便利です。手入力になりますが、負債の金額も入力できますので、資産・負債のバランスも確認できます。

また、毎月の不労所得がいくらなのか、そのお金をどう使うのか「見える化」するとよいでしょう。不動産投資からの収入は毎月一定ですが、ETFや投資信託、株は月によって収入が変わります。たとえば、ある月に多く収入があったからといって、その月で使い切ると以降の月で収入が少なくなり生活費が不足する可能性がでてきます。

サイドFIRE中に暴落が起きたときの対処法

サイドFIREは、老後までは働いていることになるので勤労収入も入りますが、それでも不労所得も月々の生活費の大きな柱です。

頼藤太希・高山一恵『「経済的自由」を最速で手に入れる! ぴったりの投資プランが最速で見つかる! マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)
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マーケットで暴落が起きたときでも不労所得で生活しないといけないわけで、一時的に資産の取り崩しが必要となる可能性もでてきます。その際に重要なのは、方針を事前に決めておくこと。暴落になってからでは慌てて不適切な判断をしてしまう可能性もあります。

大きくは、FIRE資産が減ることを承知で取り崩すのか、それとも別に用意しておいた預貯金を取り崩すのか、という選択になります。過去を見ると、暴落などの経済ショックが起きてから回復に1~3年の時間がかかる傾向にあります。

そこをいかに乗り切るかですが、そもそも自分が死ぬ直前までFIRE資産を確保しておく必要はありません。平たく言えば、死ぬまでにゼロになっていけばいいのであれば、暴落が起きても投資元本の取り崩しを計画的に行っていけば問題ありません。

元気なうちにお金を使う

投資は常に「入口」と「出口」があります。投資信託や株式を買って保有していても、売って現金に変えなければ生活できません。サイドFIREにおいては、長らく「入口」が続きますが、65歳を超えたあたりから「出口」を意識することになります。たとえば、3000万円の資産を一気に売って月に15万円ずつ使うと、200カ月=16年8カ月でゼロになります。

しかし、資産を年利4%で運用し続けながら取り崩す場合、月額約16万円ずつ、65歳から90歳までの25年間にわたって受け取れます。もちろん、取り崩さずそのまま年利4%の運用益で月10万円を得ていくこともできます。ですが、50代をピークに生活コストが下がるというデータもあります(総務省「家計調査年報」)。つまり晩年はお金を使いたくても使えない時期が来るということかもしれません。

70歳を過ぎてから取り崩す金額を増やすより、元気なうちに計画的に取り崩すほうが豊かな生き方となるでしょう。ただ、再三ですが、年利4%は絶対ではありません。

※『<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/429902415X/presidentjp-22" target="_blank">マンガと図解 はじめてのFIRE</a>』(宝島社)より
※『マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)より
頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

株式会社Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』、YouTubeチャンネル『Money&YouTV』、Podcast『マネラジ。』、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、著書累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。