立憲民主党の敗因を分析した結果…

当選報告会では、やり遂げたい政治課題として、脱原発・再生可能エネルギーの普及と、大学生の奨学金問題を挙げていた。選挙中もこの2点を訴えていた。

だが、年が明けると、「維新との対決」が浮上した。

昨年の総選挙で、菅直人は小選挙区で勝てたが、立憲民主党全体は負けた。なかでも、大阪の辻元清美の落選は菅直人にとってもショックだったようだ。

菅直人は、自分の勝因と辻元の敗因、そして党全体の敗因を分析した。

その結果、「闘う」姿勢の有無が勝敗を分けたのではないかと思い当たったのだ。

菅直人の選挙区、東京18区での対立候補は自民党の長島昭久だったが、もとは民主党にいて、しかも菅の中選挙区時代の選挙区から、菅の全面支援のもと当選した人だ。

選対内では、長島批判はすべきではないとの声もあった。「元総理なんだから、どっしりと構えていればいい」「ネガティブキャンペーンは日本では効果がない」などの意見もあった。

しかし、菅は長島と闘う姿勢を見せることでしか選挙には勝てないと判断し、演説の1割くらいは長島の政治姿勢を問うた。

それだけが勝因ではないだろうが、小選挙区で勝った。

次の総選挙でこてんぱんにやられる

一般に、「リベラル」な人びとは闘いを好まない。相手の意見も聞こうとする。なんとか対話で一致点を見いだそうとする。まして暴力は使わない。

それはそれでいい。だが、そのために、右翼的な人びとからの攻撃に対しては沈黙するしかなくなる。沈黙は美徳ではあるが、政治の場では負けてしまう。

相手を罵詈ばり雑言して勝った人たちは、敗者に容赦なく罵詈雑言を浴びせる。立ち直れなくするために。

民主党政権が終わってから、どうもそういう風潮が強まっていた。

今回の選挙での維新の躍進を見て、菅直人はこのままでは次の総選挙で、立憲民主党はこてんぱんにやられると直感した。自民党を倒す前に、立憲民主党が維新に倒される。

もちろん、大きな敵として自民党は存在するが、与党なのか野党なのか曖昧な、維新の会こそが当面の敵ではないかと考えた。

次の選挙に出ないと決めたことで怖いものはなくなったが、一方で、残された時間は短い。悔いのない議員生活としなければならない。

立憲民主党の他の議員がやりにくい、維新との闘いを決断した。それが自分の役割ではないかと考えた。