「高所得者から税金を取り、助成はカット」という安易な発想

過去のコラム「『第3子に1000万円支給を』高所得者が子育て支援から外される“罰ゲーム”はなぜ続くのか」でも書いた通り、いまの政府・与党には、本気で少子化対策をするつもりがありません(共働きや育休を応援する施策は整っていますが、それは税収対策でしょう)。

また、「高所得者から税金を取ればいい、高所得者への助成はカットすればいい」という安易な発想が見て取れます。

高所得者は、所得税、住民税、社会保険料をふんだんに払っています。特に所得税と社会保険料は収入に連動するため、その貢献度は大きいでしょう。それにもかかわらず、子育て関連のあらゆる制度で所得制限に引っかかり、補助金・助成金などは対象外。これでは罰ゲームをうけているようなものです。

それでも児童手当がもらえなくなるからと憤る富裕層があまりいなかったのと同様、今回の960万円の線引きについて、お金がもらえないからという理由で異議をとなえる人はあまりいません。

ただ、政策の内容に論理性がないこと、優先順位の不透明さ、思慮の浅さが透けて見える議論に辟易としているのです。

いつまで「片働き世帯」を前提にするのか

さらには、児童手当の特例給付廃止の時も今回もそうですが、「夫婦のどちらか年収が高いほう」を所得制限の基準にするというふうに、「一方が働き、他方は専業主婦(夫)」という昭和の家庭観(という固定観念)に縛られた制度設計しか思いつきません。「女性の活躍」などと言っているにもかかわらずです。

やはり他人に依存しすぎず、私たち一人ひとりが自分で考え自衛し、政治や政策に振り回されない生活設計・人生設計をする必要があると思います。

そのためにも、本コラムで紹介する富裕層の発想や習慣が、少しでもそれらを考えるきっかけになればと思います。

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。