「エア親戚」からのエグジット
そんなエア親戚(つまり他人)だらけの日本でコテンパンに叩かれた小室圭さんと眞子さま。小室さんとの結婚を「私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択」とまで言い切ったという眞子さまは、もうこの10月に30歳の誕生日を迎えられるそうだ。
30歳! 世間的に考えれば、もう十分にいい大人である。しかもよくよく考えれば、相当なレベルの教育を受け、社会的スキルも十分にあって自力で稼いでいける2人なのである。そんな成人男女がお互い結婚したいと(しかも立派にも『自立したい』と!)足下を固め整えていく姿に世間がいまだあれこれ足を引っ張るのを見て、「マジ勘弁」「いつまでやってんの日本」とため息をつく女たちは、私のまわりにも多い。
「結婚したいって、そこまで思える相手がいること自体がこの国のこの時代には貴重なんだからさぁ」
「眞子さまがコムKをいいって言ってんだから、2人がどう安定して結婚できる方向へ持っていくか考えてあげるほうが生産的だよね?」
「眞子さまのため、とかそれらしく正当化するウエメセが気持ち悪いよね。お前誰だよって」
「結局、日本なんて先進国じゃないんだよ。皇族の結婚に価値観が全部現れてるもんね。男尊女卑が頭から爪先まで染み込んで、抜けやしないんだよ」
私のような40代の女性たちも、これから結婚するかもしれないアラサー女子たちも、SNSや内輪のチャットでそうぼやく。
自分たちもまた、眞子さまのように他人からあれこれ言われた経験がドッカリとある。あるいは、これからあれこれ言われる予感がビシバシする。そんな女たちほど、世間のこういった「なぜか素直に祝福せず、結婚前の女にあれこれお節介したがる」温度を敏感に察知し、拒否感を持っている。
Twitterには「秋篠宮家を守れ」なんてハッシュタグまで登場して、アンチ小室圭さんキャンペーンを張った人々もいたそうだ。超絶他人の皆さんがどうしたことか血道を上げる、引くほど大きなお世話。エア親戚活動、ご苦労様である。
ハリー王子が(英タブロイド紙の論調によれば“メーガン妃にそそのかされて”)「メグジット」という王室離脱に至ったのなら、眞子さまだって「コムジット」、いや「マコジット」しちゃえばいい。世間が嘆いてみせる眞子さまの「駆け落ち婚」は、実のところしっかり者の長女で十分な才女である眞子さまこそがコムKをパートナーに選んで海外へ脱出する、要らぬお世話だらけの日本世間からのエグジットなのだ、と、女たちは密かにほくそ笑んでいる。
1973年、京都府生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。時事、カルチャー、政治経済、子育て・教育など多くの分野で執筆中。著書に『オタク中年女子のすすめ』『女子の生き様は顔に出る』ほか。