自分の「型」を持っているか

例えば、「そもそも、どんな選択肢があるかわからない」「思うように評価されない」という悩みに対してはどうでしょうか。

うまくいっている人は、自分のメリットをいったん横に置いておき、目の前の人に喜んでもらう小さな行動を積み重ねる「スモールステップ」を踏んでいます。

高橋浩一『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)
高橋浩一『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)

貢献することで相手が喜んでくれるのは、わかりやすい成功体験になります。それが積み重なると、「あなたが必要だ」と声がかかることが増えていきます。人から声がかかってくれば、自信もつきます。この状態になると、ある程度の「選べる自由」が手に入ります。

また、「セルフブランディングできていないことに焦る」「今の会社にやりがいを見いだせない」といったケースについて考えてみます。

先ほど、インフルエンサーのやり方をそのまま真似ても成果は出にくいという話をしました。だったら、全面的に真似るのではなく、取り入れられるところを選択的に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

与えられた答えに身を委ねない

一時、話題になった論調として「学校に行く必要はない。今どき、何でもインターネットで学べるから」というものがありました。確かに、学校に行かずとも、自分で必要なことを学べる人は存在するでしょう。しかし、すべての人が、必要なことを自ら選んで学習するスキルを備えているわけではありません。

であれば、アドバイスのうちの一部、「何でもインターネットで学べる」は参考にした上で、学校へ通うかどうかは別の問題として検討すればよいのです。うまくいっている人は、一人のロールモデルや一つのアドバイスを決定的な「柱」として身を委ねることはしません。

同様に、働き方を選ぶ上でも、一つの仕事ですべての要素を満たそうとするのではなく、いくつか試してみるなかで、それぞれの活動を位置づけながら、複数の柱を組み合わせています。「キャリアアップの実績を積むのはこの仕事」「人と交わる楽しさを得るのは趣味の活動」「成長体験はプロボノで」といった具合です。

「予定を埋めすぎて時間の余裕がない」「SNSで他人と比較してしまう」はどうでしょう。情報過多の現代では、振り回されないように、自分なりの軸を持つことが必要です。自分は、何が好きで何が得意なのか。どうすれば人の役に立て、必要とされるのか。何をしているときが楽しいのか。こういったことに、すっと答えが出てこないときは要注意です。

うまくいっている人は、定期的に振り返りをすることで、望む方向に進んでいるかを確かめています。ノートに書いたり、人と話したりと、手段はいろいろありますが、自分が振り回されないように心を整えるルーチンを持っているのです。

高橋 浩一(たかはし・こういち)
TORiX株式会社 代表取締役

外資系コンサルティング会社を経て25歳で起業、アルー株式会社に創業参画。2011年TORiX株式会社を設立、営業強化支援に携わる。著書は『無敗営業』『無敗営業 チーム戦略』(いずれも日経BP)、『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)、『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』(KADOKAWA)、『「口ベタ」でもなぜか伝わる東大の話し方』(ダイヤモンド社)などがある。