過去10年分のデータから儲かる手法を導き出す

私自身は過去のデータを統計的に分析して銘柄を選ぶ手法をメインにしています。決算がよかった、業績の上方修正があったなど株価が上昇するパターンを見つけ出し、同じ条件がそろったときに再現性があるかを過去のデータをチェックします。過去10年間ほどのデータを検証し、プラスになっていれば投資手法として取り入れます。

統計的な分析で銘柄を探す手法にたどり着くまでには、私自身も試行錯誤しました。当初はウォーレン・バフェットのように企業価値に比べて株価が過小評価されている銘柄を買って株価が上昇するのを待つ手法も試しました。しかし、うまくいきませんでした。どんなにすばらしい手法でも自分に合わなければ成果を出すことはできないのです。

スマホにチャートを表示し、データを分析する若い金融専門家
写真=iStock.com/guvendemir
※写真はイメージです

次に試したのが、株主優待銘柄の買いと売りを組み合わせて優待だけをもらう方法です。これはクロス取引と呼ばれるもので、ある銘柄を「買う」と同時に「カラ売り」するのです。「買い」と「売り」を同時に持っているので、株価が変動しても利益と損失が相殺されます。そのまま権利確定日まで維持すれば、株主優待だけが受け取れるのです。権利確定日の翌日に「買い」と「売り」を精算して取引を終了します。

人気の株主優待銘柄なら8勝2敗で値上がり益を確保

この方法を続けているうちに、権利確定日の翌日に清算する際、「売り」に損失が発生しているケースが多いことに気づきました。その分、「買い」に利益が出ているので、相殺すれば損失は発生しないのですが、「買い」に利益が発生する確率が高ければ、投資手法として使える可能性があります。

そこで過去のデータを分析してみると、人気の株主優待銘柄は、権利確定日に向けて株価が上がりやすいことがわかりました。これが統計的分析に興味を持つきっかけとなりました。

人気の株主優待銘柄が権利確定日に向けて株価が上がっていく現象はいまでも変わっていません。株主優待に人気のある銘柄には小型株が多く売買が少ないため、流動性が高くない傾向があります。投資しようとしても、売買できるのはリスク管理の観点では百数十万円~数百万円程度なので、機関投資家はもちろん、個人投資家でもある程度の資産を保有している人は手を出さないのです。

実際に権利確定日の3カ月前に買って前日に売ると、8勝2敗くらいの確率で利益が得られます。人気の株主優待銘柄は数多くありますので、毎月でも実践できます。ただ、過去のデータを最低でも5年、できれば10年間はチェックして、再現性があるかを確認してください。私自身は10年分をチェックしています。