ボーナスが6月と12月なのはなぜか?

6月と12月といえば、サラリーマンにとっては、ボーナス(賞与)の時期です。ボーナスとは、毎月の給与と別にもらえる「特別な給与」です。どちらも労働の対価である「賃金」ですが、毎月支払い義務がある(労働基準法24条)給与に対し、ボーナスは労働契約や就業規則に明記されている場合にのみ、企業に支払い義務が生じます。

日本では、ボーナスは夏と冬の年2回支給されるのがふつうです。これは江戸時代の商人が盆と正月に、奉公人に衣服を支給した「仕着(しきせ)」という風習に由来するといわれています。企業として日本で最初にボーナスを支給したのは「郵便汽船三菱会社」で、明治9年(1876年)のことでした。航路の買い取りをめぐってイギリスの海運会社と競り合った際、社員一丸となって勝利したことへのごほうびだったそうです。

リボンがかけられた札束を差し出す男性の手元
写真=iStock.com/Velishchuk
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それ以前の時代には、企業ボーナスはありませんでした。というか、そもそも企業というものがありませんでした。企業とは、資本主義の大規模化に合わせて「組織的に働く」ために発展してきたもので、日本では大正時代あたりから根づき始めました。サラリーマンという「新しい職業」が生まれたのもその頃で、それ以前の日本は農民や商人、職人など「家業」中心の社会でした。

ちなみに経団連の2018年の調査(2018年夏季・冬季 賞与・一時金調査結果)によると、経団連に加盟しているような大企業だけの平均だと、2.5カ月分前後が支給されていましたが、全体で見るとボーナス1回の支給額は「給与の1.17カ月分」が平均的で、依然として大企業と中小企業の格差は大きいようですね。

海外に目を向けると、国によってさまざま。たとえばヨーロッパでは、年1回「13カ月目の給与」に近いもの、アメリカでは成果に合わせたインセンティブ方式、オーストラリアではボーナスがないかわりに、普段の給与が高めに設定されているようです。