マンネリ化した中年夫婦を体験
【原田】なるほど。パパ活は大人数で集まるわけじゃないから、今でも会うこと自体はそれほどハードルが高くないのかもね。それと、コロナ前から彼氏彼女がいる人にも聞きたいんだけど、コロナで関係が変わったりはした?
【國武】私はパートナーがいるんですが、コロナで彼も私も家にいる時間が増えて、お互いにイライラするようになりました。勉強やインターンの作業に集中できなくて、「実家に行ってよ」って言っちゃったこともあります。今思えばわがままだったなって反省しています(笑)。
【原田】関係がマンネリ化した中年夫婦みたいだな(笑)。でもそれも、気づかいのポイントやお互いの考え方を知るいいきっかけになるかもね。そういう問題って、結婚するとかなりの人が経験するんだけど、大学生のうちに経験する人は少ないよね。これもコロナ下ならではの経験と言えそうだな。
1回目と2回目の緊急事態宣言の大きな違い
【原田】コロナ禍によって、若者の「リアルの出会い」は確実に減少しているようです。今回の座談会からは、大学の授業やサークル活動、飲み会などでの出会いがほぼなくなり、代わってSNSでの出会いが台頭している様子がうかがえました。この変化の理由を考えるにあたっては、「2回目の緊急事態宣言」がキーワードになってくるように思います。
1回目の緊急事態宣言の際は、若者たちは新たな出会いに慎重になる、あるいは出会うこと自体をあきらめる傾向が見られました。しかし、今は「ちょっとした安心感のある新規の出会い」には積極的な様子。顔見知り、友達の友達、出身校が同じ――こうした下地のある相手には安心感があるのか、SNSで連絡を取り合って交際に発展するケースも少なくないようです。若者たちは今、新たな出会いをSNSの中で、ただしあくまでも「知り合いの知り合い」の範囲内で探し始めているのではないでしょうか。今後は、そうした安心感のある交流を実現するツールが支持を得ていきそうです。
構成=辻村洋子
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。