納得のいく副業先を見つける2つのポイント
企業に勤める人が、納得のいく副業先を見つけるためのポイントは2つあります。
一つは、エリアへのこだわりを捨てることです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、地方都市も含めて、テレワークで関わることを受け入れる企業は増えています。そのため、実際に訪問することは月1回でよい、あるいは全てテレワークでも構わないという企業も出てきています。私は福岡在住ですが、コロナ禍以降は東京での仕事が非常に増えました。
また、仕事の進め方一つとっても、地方と都心では状況が異なります。そのため、都市部で働いているノウハウが地方の企業では役に立つことも多々あります。たとえば会議前にアジェンダを作成したり、即日議事録を作成したりする、あるいはGoogleアナリティクスで分析をするといった自分にとっては日常業務でも、今までと仕事の進め方が変わってありがたいと言っていただけた、という話もあります。そうした文化を地方に吹き込むこともできるわけです。
もう一つは、転職と副業では、企業へのアピールポイントが異なると認識することです。
転職の場合、履歴書では「どんな部署にいたか」「どんなポジションだったか」という点が重要です。しかし、副業ではそこではなく、「どこに専門性を持っているのか」が最も重要視されます。副業の受け入れ先企業が知りたいのはそこなのです。
たとえばですが、「ANAでCAをしていました」という肩書はあまり関係ありません。もしCAが副業の履歴書を作るのなら、
「CAの中でも私は教育担当として、1000人のCAの育成に携わってきました」
「お客様のご要望をくみ取ってサービスを創り出していくことが得意で、商品開発部と横断プロジェクトに関わる機会も多くありました」
「趣味でこれまでフライトで訪れた全国300箇所の観光地のお土産のランキングをすべてチェックしていたので、売れる土産物の傾向は把握しています」
といった具合です。自分が何に特化しているのかを前面に出すことが、副業の履歴書ではとても有効になります。
とはいえ、いざ副業を探すとなるとどうやって探せばいいかわからないという人も多いでしょう。しかし今は、転職先を探すときのように、副業先を見つけるためのサービスも非常に増えているのです。
昔は、フリーランスや副業と言えば、「バナーやロゴのデザインをお願いする」といった単発の仕事を発注する「タスク型」が多かったのですが、最近では副業先の会社の名刺を持って働く「プロジェクト型」や、“企業ブランドをリニューアルする”など、ある目的に対して会社の人間として働く「ミッション型」も増えています。
そうした背景から、副業人材が解決できる事業領域が一気に広がり、大企業の人も活躍できる場が広がっているというわけです。
副業をやると決めたら、上記のような、事業者の力を借りてみるのもよいですし、自分の名刺を作ったり、ライフラインチャートで自己分析してみたり、あるいは周囲の友人に自分の「専門性」「強み」について客観的にどう思うのか聞いてみたりしてもいいです。まずはご自分が取り組みやすい方法で、自分を深堀りしてみましょう。自分を深堀りして専門性を認識し、言語化できるようになっているかどうかが副業で稼ぐための決め手になるでしょう。
1979年生まれ。03年中央大学法学部卒業、インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。人事として1000人以上と面接、アウトソーシングのコンサルティング営業では社内最高売上記録を達成した経歴を持つ。結婚を機に福岡に移住。第一子妊娠を機に大学院に通い、MBA修了。18年、独立と同時にフリーランス協会に携わる。現在は、フリーランス協会の求人ステーション統括コーディネーターとして、企業の外部人材(複業・兼業)活用支援にも携わり、多様な人材との協業で発展する企業の在り方を世の中に広めるよう邁進中。