意見の中身と貢献度でワンランク上の評価を
④に「ファシリテーションスキルを学んでおく」を挙げたのは、これを知っていれば、会議の進行に的確に協力できるようになるからです。
例えば、ファシリテーターは議論を可視化するためにGoogleスライドなどをホワイトボードのように使います。でも、実は司会進行をしながら書き手も務めるのは結構大変なもの。トレーニングも必要です。
この時、参加者が交代で書き手を代わってくれると助かります。事前に少し練習しておいて、大変そうなときは交代できれば、会議への貢献度がアップします。みんなから感謝されるでしょうし、何より自分自身の学びになります。
意見のバトンやタイムマネジメントにも同じことが言えます。参加者同士の協力があればファシリテーターの仕事は減ります。みんなの活発な議論で、会議の成果もあがります。
会議が終わったら、ぜひ⑤の「みんなに感謝の気持ちを示す」を実行してみてください。ファシリテーターにとっては、「お疲れさまでした」「ありがとう」といったねぎらいの言葉が、次のモチベーションになります。感謝の気持ちを表すことは、次回以降の会議の温かな雰囲気づくりにもつながります。
ここまで、Zoom会議に貢献するコツを考えてきました。では、こうした会議で自身が評価されるためには、何を重視すべきでしょうか。あえて答えるなら、それはやはり「意見の内容」に尽きるでしょう。
会議の成否は、どんな過程(プロセス)で、どんな意見(コンテンツ)が出たかという2点で評価されます。参加者にいちばん期待されているのはコンテンツです。そして、良きプロセスは、良きコンテンツを生み出します。「デキる人」と評価されたいのであれば、この2つの相関を理解して会議に貢献することをおすすめします。
「ファシリテーションスキル」は、会社の会議や研修などに有効なビジネススキルと思われがちです。しかし、この技術は、世代や意見の違いも超えて人をつなげる力があります。業務だけでなく、広く社会全体の成長にも貢献できるのです。ファシリテーションスキルを、できる限り多くの方に身につけていただけることを願っています。
構成=辻村洋子 写真=iStock.com
2003年に会議の技法「ホワイトボード・ミーティング(R)」を開発し、効率的、効果的な会議の普及やファシリテーターの養成、チームマネジメントのスーバーバイズなどに取り組む。『元気になる会議─ホワイトボード・ミーティングのすすめ方』、『人やまちが元気になるファシリテーター入門講座』など著書多数。