海外に目を向けなければ、日本は縮小していくだけ

日本人は気が付いていないかもしれないが、世界の多くの人は喜んで日本で働きたいと思っている。とりわけ高度人材は日本で働きたいと思っている。なぜなら、多くの人は日本に来れば稼げると思っているからだ。さらには、治安も良いし、清潔ですべてが効率的で、食事も何もかも素晴らしい。日本が国を開けば、優秀な人材が日本に押し寄せてくるだろう。

働く人だけではない。学生もどんどん受け入れるべきだ。日本で学びたいという外国人学生はたくさんいる。韓国や中国の子供たちと話をすると、大学の数が少なく競争が激しいため、大学に入りたくても入れないと言う。私は彼らに「日本に行きなさい。日本は大学の数が余っているから」とアドバイスしている。日本では定員に満たない大学が数多くあると聞く。そのような大学は積極的に外国人学生を受け入れるべきだ。

移民として海外に出ていく人の多くは、勇気がありチャレンジ精神にあふれた人だ。家族や友人と離れ、住み慣れた母国を後にして海外へと移住する。そのような活力にあふれた人たちを受け入れることで、その国はますます発展するようになる。

シンガポールも成功した国だ。50年前、シンガポールの国民は5万人しかいなかった。しかし、当時の首相リー・クアンユーは、高学歴で高度なスキルをもった外国人を積極的に受け入れる政策を推し進めた。彼の政策は、本当に大盤振る舞いで、シンガポールに来てくれたら、土地も家も何でもあげるからというくらいの姿勢だった。そして、いまのシンガポールがある。

移民で繁栄する国がある一方で、外国人を受け入れずに衰退してしまう国もある。1960年頃、ビルマはアジアでもっとも裕福な国の一つだった。しかし、政権交代を受け、外国人の多くが追放されると、一気に転落して、名前がミャンマーに変わったその国は、アジアでも最も貧しい国の一つになってしまった。

閉鎖的、排他的な国はやがて低迷を余儀なくされることを歴史は明確に示している。

経済が好調で、国が上昇基調にあるときは、外国人のことなど気にしなくてもよい。特別な関心を示さなくても、向こうから来たいと言ってくれるからだ。しかし、衰退した国に、外国人は来ようとは思わない。ましてや、日本が停滞している一方で、中国や韓国が成長し外国人にとっても魅力的な国になっている。だから、日本にとってそう多くの時間があるわけではないのだ。