狙うは中国市場のインフルエンサー
【原田】今後の戦略もすでに練りつつあるんですね。2代目に任せた後は、大人市場への進出のほかに、例えば自分の店をつくるようなことも考えているのでしょうか。
【りょうくん】それは考えていません。でも、メニュー監修の仕事などを通して、今はヒットさせようと思ったら味だけでなく店舗や商品のデザインも大事なんだとわかってきました。将来的にはデザインごとの反応データなどをつかんで、数値を使ってコンサルティングしていけたらいいなと思います。
【原田】広告効果みたいな部分を、グルメ系商品のデザインに生かしていきたいということですね。SNSではどうでしょうか。Twitterやインスタなどいろいろありますが、「りょうくんグルメ」に限らず特に力を入れていきたいのはどれですか?
【りょうくん】最近、中国のインスタと言われている「小紅書(RED)」を始めました。中国人の友達に、すごく流行っているからやるように勧められて。日本は少子化も進んでいるので、これ以上フォロワー数を増やすのは正直もう限界かなと思っています。そこを考えると、中国にはまだものすごい可能性がありますよね。次は中国でインフルエンサーとして認められて、中国で一番有名な日本人になりたいです。
【原田】以前、中国に語学留学したと言われていましたが、その経験をすでに武器として生かし始めているんですね。お話を聞いて、常に先を見据える姿勢に驚き、りょうくんの今後がさらに楽しみになりました。どうもありがとうございました。
タピオカの次はクリームソーダ、日本の次は中国──。SNSインフルエンサーの中には人気が一過性に終わる人も少なくありませんが、りょうくんは常に先のことを考え、新しい戦略を次々と打ち出しています。それだけに進化のスピードも速く、これでは後発の人はなかなか追いつけないだろうと実感しました。ビジネスや英語、中国語を学んできたことも、大きな武器になっていると思います。大人市場や中国市場への参入も、見事な成長戦略だと感じました。りょうくんの今後の活躍に注目していきたいと思います。
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。
2018年3月よりSNSで投稿を開始。「まじでこの世の全ての○○好きに教えてあげたいんだが」という定型文が話題になり、1年半後には総フォロワー数が90万人を突破。流行をキャッチし拡散する力が飲食店からも信頼され、現在では新しい「映えるグルメ」の仕掛け人として注目されている。4月1日、著書『まじでこの世の全てのSNSでバズらせたい人に教えてあげたいんだが。』を発売。