自身の年金が多いと遺族年金は少なくなる?

60代になって自身の老齢年金の支給が始まると、遺族年金の受け取り方にも影響が出てくる。

自身の老齢年金が受け取れるのは原則65歳からだが、昭和41年4月1日までに生まれた人では、65歳になる前に老齢厚生年金の一部支給がある。その場合は、自身の老齢厚生年金と、遺族厚生年金のどちらかを選ぶことになる(多い方を選んでOK)。

また65歳以降は、自身の老齢厚生年金を受け取り、遺族年金がそれを上回る場合のみ、上回った分だけをプラスして受け取ることになる。自身の老齢厚生が10万円、遺族厚生年金が12万円なら、自身の老齢厚生年金10万円と遺族厚生年金2万円(12万円‐10万円)で、計12万円である。

遺族厚生年金は亡くなった人が受け取るはず(または受け取っていた)の老齢厚生年金の4分の3が目安だが、それが丸々もらえるのではなく、受け取れるのは自身の老齢厚生年金との差額なのだ。

会社員の期間が長く、たっぷり稼いだ妻は自身の老齢厚生年金も多くなるので、受け取れる遺族年金は限られる。

まずは、自身が死亡した場合、パートナーが死亡した場合の両方について、誰に、いつまで、どの程度の遺族年金が支給されるかを知ること。そうすることで、万が一のことがあったときに、遺族年金以外の資金がどのくらい必要なのかがわかるはずだ。

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井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。