年金というと老後に受け取るもの、とイメージしがちだが、実は遺族への保障として、「遺族年金」もある。正しく知れば、いざというときに大きな助けになる可能性が高い。そんな遺族年金について、ライフスタイル別に見ていこう。
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遺族年金は年金の種類などによって異なる

遺族年金は、年金に加入している現役世代の人、また老齢年金を受け取っている人が亡くなったときに、遺族に支給される年金である。どのような遺族年金が、いつ、いくら支給されるかは、「加入している年金の種類」(厚生年金か、国民年金か)や、「子どもがいるか」、また「夫か、妻か」によって異なる。

まず、子どもがいる世帯で夫が死亡した場合について見ていこう。

子どもが18歳になって最初の3月末まで(障害のある子では20歳未満)は、「遺族基礎年金」が支払われる。

金額は、年間【78万100円+子の加算額】で、子の加算額は、第一子と第二子は各22万4500円、第三子以降は各7万4800円となっている。

専業主婦の妻で子どもが2人なら、合計で年間122万9100円だ(いずれも2019年度)。

遺族基礎年金が受け取れるのは、遺族基礎年金は子が18歳になって最初の3月末(障害のある子は20歳未満)までである。

さらに亡くなった夫が会社員だった場合には、「遺族厚生年金」も受け取れる。金額は、亡くなった人が厚生年金に加入していた月数と、生前の給料によって計算され、加入期間が長いほど、給料が多いほど、金額は多くなる。

例えば平均標準報酬額が36万円で、加入期間が300月(25年間)の場合、遺族厚生年金の額は44万4000円。ここに遺族基礎年金を足すと、計167万3100円(専業主婦と子ども2人の場合)となる。

加入期間が短いと額は少なくなるが、加入期間が300月未満の場合は300月として計算する、というルールがある。そのため、若くして亡くなったなど、加入期間が短くてもある程度の額を受け取ることができる。

遺族基礎年金が受け取れるのは子どもがいる場合のみだが、会社員の夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で子どもがいない妻と、子どもが18歳以上になって最初の3月末を過ぎるなどで遺族基礎年金の支給がなくなった妻には、「中高齢寡婦加算」という支給がある。

条件は死亡した夫の厚生年金加入期間が20年以上であることで、金額は58万5100円(2019年度)。妻が65歳になるまで支給される。

また、自営業など、10年以上国民年金に加入していた夫が老齢年金を受けずに死亡した場合、婚姻期間が10年以上の妻には60歳から64歳までの間、「寡婦年金」が支給される。

年金額は夫が(第1号被保険者期間)受けられたであろう老齢基礎年金の4分の3となる。

遺族年金を受け取るには、受け取る人の前年の年収が850万円未満であることが条件となる。年収がそれより高いと、遺族年金は支払われない。

ただし、いったん受け取り始めれば、年収が850万円を超えても支給が止まることはないので、配偶者が亡くなってからキャリアアップして収入が増えるのは、年金にもマイナスの影響はない。