子宮内フローラをチェックして、善玉菌を注入!

腸内細菌叢(腸内フローラ)が全身の健康に大きな役割を果たしていることが知られてきました。それと同様に、いま、注目されているのが子宮のなかの細菌叢です。

「子宮内フローラのなかにラクトバジルスという細菌が少ない人は、着床率が悪いのではないか、と考えられています。ラクトバジルスとは、乳酸菌のような常在菌。少ない場合には、膣錠で入れる治療法がとられることもあります。現在、研究段階の治療で、膣から入れることで子宮内まで届くのか、まだしっかりしたエビデンスは出ていません」

着床率アップが期待されるPRP療法

PRP(多血小板血漿)療法は、自己治癒力をサポートするための治療法。自分の血液をとって特殊な遠心分離にかけ、血液中の血小板が多く含まれる部分のみを取り出し、子宮に戻します。子宮内の組織の修復を助け、着床しやすい環境づくりをする、というもの。

「美容の世界では、幹細胞の美容液などが出ていますが、ニュアンスとしてはそれに近いかもしれませんね。ほかにも、着床しにくいのは、受精卵を異物と認識して攻撃する、強い免疫が働くせいではないか、という考えのもと、免疫抑制剤を使った治療をする方法も出てきています」

年齢を重ねるにつれ、卵子の質が低下していくのは、医学の力をもってしてもいかんともしがたい部分。そのせいもあってか、現在は着床率を上げる治療や検査についての新治療が花盛りのようです。

さまざまな治療が出ていますが、まだ効果は未知数なものも。不妊治療を受ける際は、最新トピックにアンテナを張りながらも、頭でっかちになりすぎないことが大事。医師とコミュニケーションをとりながら、納得できる治療を選択していきましょう。

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月花 瑶子(げっか・ようこ)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医

東京・新宿にある不妊治療専門クリニック杉山産婦人科に勤務。 産婦人科領域で事業展開するヘルスアンドライツのメディカルアドバイザーを務める。 共著書に『やさしく正しい 妊活大事典』(プレジデント社)、 監修メディアに「性をただしく知るメディア Coyoli」がある。