体外受精の成功率が高まる可能性も? 着床前診断に注目

着床前診断とは、受精卵の染色体の異常の有無をみる検査のこと。卵子の老化が進むにつれ、受精卵の染色体異常が増えることがわかっています。染色体異常がある場合、子宮に戻しても着床しなかったり、流産してしまうケースがほとんどです。

「高齢でなかなか着床しない場合、その原因のほとんどは受精卵の染色体異常だと考えられます。受精卵の染色体異常をみることで、赤ちゃんになることができない卵を移植するのを防げて、女性にとっての体の負担を減らすことが期待できますし移植あたりの体外受精の成功率が高まる可能性がありますね」

着床前診断は、アメリカではすでに実施されているものの、日本ではまだ条件つきでの適応です。

「日本では、流産を繰り返している方、もともとご自身に染色体異常がある方が受けられる検査。審査の基準は以前に比べてゆるやかになってきました。着床前診断は、赤ちゃんになれない受精卵を判別するもの。出生前診断とは性格が異なります。体外受精にトライしているすべての人に解放してもいいのではないか、という意見も大きいですね」

慢性子宮内膜炎の治療で、着床不全を改善

子宮内膜に慢性的な炎症があると、受精卵が着床しづらくなるのではないか、と言われています。最近話題なのは、抗生剤によって慢性子宮内膜炎を治療してから、体外受精をする方法。

「子宮鏡という内視鏡でみると、子宮のなかが赤く腫れていたり、小さなブツブツができている人も。何度も移植しているのに、なかなか着床しない人に子宮鏡を実施すると、このような病変があることは臨床ではよく経験します。抗生剤によって炎症をしずめることで、子宮環境をととのえ、着床しやすくする治療法が主流になってきました」