井の頭公園のボートに乗るとカップルは破局する――。この種の都市伝説は多く、“カップルの破局スポット”は全国いたるところにあります。ではなぜ、「そこで」破局する人が多いのでしょうか。行動経済学と確率論でアプローチします。
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混雑によるイライラが破局の原因なのか?

みなさんは、こんな話を聞いたことがありませんか? 吉祥寺にある井の頭公園でデートをしてカップルでボートに乗るとその後、その二人は別れることになるというお話です。実を言うと、この都市伝説は全国にあります。名古屋だと東山公園の池、京都は嵐山の渡月橋付近の大堰川でボートに乗ってはいけない、大阪では天保山にある海遊館に行くと別れる、といった具合です。

実際に調査をしたわけではありませんから(少なくともそんなデータは見たことがありません)、それが正しいかどうかは確認しようがないのですが、多くの人がそのように言われると思い当たるフシがあるようなので、まことしやかに伝えられている都市伝説と言っていいでしょう。

この理由は昔から様々な解釈がなされています。例えば井の頭公園にある弁財天は女性の神様なので、カップルに嫉妬して仲を引き裂くからだと言われます。でも神様が嫉妬するなんてことがあるでしょうか? これは七福神の中で唯一の女性の神様であることから、どうやら「女性は嫉妬深い」という男性の勝手な思い込みから考えた理屈のような気がします(本当は男性の方が嫉妬深いんですけどね)。

他にも行楽地ではどこも混雑するので、待っている間にイライラして喧嘩しがちになるから別れることになる可能性が高いのだ、とも言われます。でもその程度のことで喧嘩して別れるのであれば、多分結婚してもうまくいくはずがないので、その人達は恐らく最初からうまくいかない運命にあったのでしょう(笑)。これも理由としてはやや希薄なような気がします。

ところが、こんなこじつけのような理由を考える必要はありません。行動経済学と確率論で考えると、その答えは明快に出てきます。