好調な今の米国経済は日本のバブル期に似ている

経済成長が期待できる国に投資すれば、お金が増える可能性があるわけだが、中国はリスクが高い。比較的安心なのは先進国で経済成長の可能性がある国となるが、そうなると選択肢は米国となる。

「ただ、米国は今後、経済が過熱しすぎる可能性があるので注意が必要です」(藤巻さん)

その理由は、今の米国は日本のバブル期と似かよっているからだという。80年代後半、日本では地価や株価が上昇していたが、物価が低迷していたことを理由に金利を引き上げなかったため、さらに資産価格が上昇、経済が狂乱してしまった。現在の米国はニューヨークダウが最高値を更新しているにもかかわらず、金利を引き下げている。

「今の米国のバブルは、日本の88年ごろの状況に差し掛かっていると思います」(藤巻さん)

日本にはインフレリスクがあり、米国にはバブル崩壊リスクがあるとするならば、お金はどうすればいいのだろう。

日本経済の成長があまり期待できないとすれば、資産を円だけで保有していると目減りしてしまう可能性がある。為替レートは2国間の力関係で決まるので、ドル/円で考えた場合、日本よりも米国のほうが経済が強いと判断されれば、円安・ドル高になる可能性が高い。

「ドルで資産を持っていたほうが資産防衛につながります」(藤巻さん)

藤巻さんのお薦めは米ドルMMFと米ドル預金。米ドルMMFとは安全性の高い米国の債券などで運用される投資信託。元本は保証されないが、米ドル預金と同程度に安全性が高い。違いは税金の扱い。米ドルMMFは利益に対して20.315%が課税される。一方、米ドル預金の利益は、給与などほかの所得と合算されて課税されるので、本業の所得税率が高い人は不利となるので注意しよう。

深野さんも外貨資産の保有には賛成の立場だ。

「私たちの生活は給与にしても円が基本。資産まですべて円で保有するのはリスクがあります」

勧めるのは広く世界に投資する投資信託を保有すること。それは世界の経済成長を自分の資産に取り込むことにつながる。たとえばMSCIコクサイ・インデックスに連動する投資信託なら、先進国の成長に合わせて自分の資産も増加する仕組みだ。

きんはインフレや経済危機にも強い資産として知られている。その理由は現物資産であること。株式や債券はペーパー資産といわれ、発行元が破綻すると紙クズになる可能性があるが、金は現物があるので、価値がゼロになることはない。また、インフレ時にはモノの価格が上がるので金の価格上昇も期待できることから、持っていて安心な資産といえる。金は宝飾品需要が高いのも特徴で、全体の5割以上を占める。金の価格が下がると金を買う人が増えるので、価格が戻りやすい面がある。

ただ、金の価格は2018年の半ばから急上昇していて、これから買っても大丈夫なのか不安はある。

「毎月定額で積み立て購入するのがいいでしょう」(深野さん)