※本稿は黒川伊保子『夫のトリセツ』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。
夫が気が利かない、本当の理由
さて、「夫が家事を手伝ってくれない」問題について、解説しよう。
夫は、気が利かない。
我が家の夫は、若いうちは、「お鍋、できるよ?」と声をかけると、リビングにやってきて椅子に座るだけ。「鍋敷きくらい出してよ」と言ったら、新聞やボールペンの乗ったままのテーブルに、ちょこんと鍋敷きを乗せる始末。「いやいや、それを片付けないと鍋が乗らないでしょ。やる気あるの?」と言ったら、「あー、言ってくれればやるよ」(言わなきゃやらないのが、本当にイラつく)といった具合だった。
女同士で暮らしていて、片方がキッチンで立ち働いていたら、もう片方は出来上がりの気配を察して、呼ばれる前にリビングにやってきて、テーブルを整える。余計なものを片付けて、鍋敷きに、取り皿に、おたまに菜箸。大学時代の同居人がそうしてくれたし、今まさに、およめちゃんがそれをしてくれている。
夫は、いまだに呼ばないと来られないが(料理の仕上がりの気配を察することは不可能らしい)、何をすればいいかはルール化してわかっているので、間違いがない。
それでも、新しい事態には、本当に気が利かない。
見りゃわかるでしょ、の事態に、動いてくれないのである。
けど、それ、やる気がないからではなく、妻の所作をうまく認知できていないせいなのだって、知ってました?