献血行動と血液型の関係

血液型と私たちの行動特性の間には、なんの関係もないのだろうか。筆者も参加した研究では、大阪大学が行っているアンケート調査を用いて献血行動と血液型の関係を調べている。2017年の調査では、過去1年以内と過去数年以内の献血行動について質問をしている。

アンケート回答者1311人のうち、過去1年以内に献血した人は約5.5%であり、数年以内に献血した人は約11.7%である。

血液型別にみると、献血割合は次のようになる。過去1年以内に献血した人は、A型4.1%、B型4.3%、O型7.5%、AB型7.1%であり、O型の割合が一番高く、統計分析をすれば、血液型によって献血割合は異なる可能性が高いという結果が得られる。数年以内に献血したことがあるという人の比率では、A型9.6%、B型9.4%、O型15.1%、AB型14.3%と同様の結果が得られる。この場合も、献血率が血液型間で変わらないという帰無仮説は3.2%の水準で棄却される。

O型の人は利他的なのか

O型が献血しやすいという特性は、血液型によって回答者の属性が偏っていたのではないか、という疑問をもたれる方もいるだろう。筆者たちは、年齢、性別、収入、学歴、健康状態、性格特性などを統計的にコントロールした分析も行ったが、それでもO型の人は他の血液型の人よりも献血する傾向が高いことが示された。

献血は、純粋に利他的な行動である。献血をする人は、献血以外にも利他性が高く、利他的行動をしている可能性が高いのではないだろうか。O型の人は利他的なのだろうか。このアンケートでは、骨髄バンクへの登録、脳死の場合の臓器提供に同意するサイン、金銭的な寄付額といった利他的行動についての客観的指標と利他性、一般的信頼、互恵性、協調性などの性格特性についての主観的指標についても質問をしている。実は、それらの利他的行動や主観的指標については、血液型間による統計的な差は存在しない。ということは、O型の人が献血をするというのは、O型の人が他の血液型の人よりも利他性が高いという理由ではないと考えられる。