年金の受給を繰下げることで受け取れる金額は増えますが、どれくらいお得なのでしょうか。その“お得度”は、私たちが受け取るころもキープされているのでしょうか。家計コンサルタントの八ツ井慶子さんがシミュレーションします。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/flyingv43)

70歳まで繰下げで42%アップ

こんにちは、家計コンサルタントの八ツ井慶子です。

今年(2019)8月、5年ごとに実施される公的年金の「財政検証」の結果が厚生労働省から発表されました。その結果も参考にしながら、老齢年金の「繰下げ受給」について、考えてみたいと思います。

現在、老齢年金は原則65歳から受け取れます。

ですが、任意に受け取り開始を選択することができ、早めに受け取る場合を「繰上げ」、遅くする場合は「繰下げ」といいます。繰上げは早くて60歳から、繰下げは70歳まで可能です。

繰上げ・繰下げを行うと、本来65歳時点で受け取るはずの年金額が、受給開始時期に応じて「調整」されます。

繰上げの場合、繰上げるひと月あたり0.5%カットされ、繰下げはひと月あたり0.7%の増額です。それぞれ最大5年(60カ月)ですから、60歳から受給開始する場合は30%カット、70歳まで繰下げれば42%アップする計算になります。また、調整された年金額を一生涯受け取ります。

念のため付け加えると、いつから受け取り開始とすれば、年金の総額が最大になるかは、(寿命は分からないので)“フタを開けてみないと分かりません”。

単純計算をすると、平均余命程度に生存すれば65歳時に受給開始するより、70歳から1.42倍の年金を受給した方が、結果的に多くなります。

ただし、いくつか注意が必要です。