未婚者が思うほど結婚にお金はかからない
データからは、最低世帯年収に「400万円以上」を選んだ人は、未婚者では66.1%、既婚者では48.6%となります。「未婚者は既婚者よりも結婚生活に求める世帯年収がそもそも高い男女が多い」ということがはっきりとわかります。
実際に結婚生活を送っている既婚者に比べて、未婚者は「結婚に必要な最低限のお金」を多く見積もりがちな人が多いようです。言い換えると、既婚者の回答から考えて、リアルな結婚生活には未婚者が思うほどのお金はかからないようだということも、このデータからは見えてきます。
「お金がないから結婚できない」のではなく……
「結婚生活に本当に必要なお金よりも、多くのお金を必要と考えている割合が高い」ことが未婚男女の特徴の一つといえます。そうした過大な生活費の見積もりが前提にあるため、結婚相手に求める年収、もしくは自分が稼がねばならないと考える年収も必然的に高く見積もることになります。結婚生活に関する、既婚者の実態を超える金銭的要求によって、結婚を非現実化させてしまっている未婚者の一面が示唆されるデータです。
以上からは、次のデータ解釈が可能であると思います。
① 現実的にお金が足りないというよりも、足りないと思い込んで結婚相手が見つかりにくい、もしくは、まだまだ自分は稼がないと結婚できないと思い込んで結婚に踏み切れない未婚男女が少なくないのではないか。
② お金がかかる結婚生活を志向するために、結婚相手探しに難航している、もしくは、結婚に踏み切れない未婚男女が少なくないのではないか。
「未婚者は既婚者に比べ、結婚生活に必要な世帯年収を過大にとらえる、要求する傾向が強い」ということが指摘できると思います。
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東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、1999年から同社シンクタンクに出向。1児の母。専門分野は人口動態に関する諸問題(特に少子化対策・少子化に関する社会の諸問題)。内閣府少子化関連有識者委員、地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・人口動態・女性活躍・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。