男性には、自宅でできる精子チェックを

「女性がするもの」というイメージが持たれやすい妊活ですが、当然ながら、妊娠は女性ひとりではできません。不妊に悩む夫婦の約半数は、男性にも原因がある、と言われています。

「妊活をスタートするときには、ぜひ男性もいっしょに検査を受けることをおすすめします。不妊治療専門クリニックに行くのは抵抗があるという男性も多いでしょうが、男性のブライダルチェックは泌尿器科で受けることができますよ。また、病院に行くこと自体が面倒、恥ずかしい、という方には、自宅でできる精液検査のキットもあります。たとえば、『Seem』というアプリでは、専用キットとスマホのアプリで、手軽に精子の運動率や濃度をチェックすることができます」

飲みすぎた翌日は精子が激減することも

精子の健康状態は、日によって、体調によっても変動します。睡眠不足が続いたり、飲み過ぎたりした翌日チェックすると、精子の数が激減していたり、運動率が極端に悪くなっていることも。

「普段、男性はティッシュのなかか、あるいはコンドームのなかに入っている精子しか見たことがない。それが、理科の実験のように観察できるとなると、やはり興味が湧いてきます。妊活について調べたり、生活習慣を見直したりするきっかけにもなると思います」

キットで調べられる数値だけでは、妊娠力を総合的に判断することは難しいもの。AMHも卵子の残数がわかるだけで、現時点での妊娠できる可能性を示す数値ではありません。また、精液検査も、病院で調べればさらに詳しく前進運動率や奇形率なども測ることができます。

ただ、妊活を始めるとき、また将来の妊娠を考えるとき、目安となる数値を知ることは、計画を立てるときの足がかりとなるはず。とくに35歳をすぎてからの妊活ならば、やみくもに手探りで進むのではなく、きちんと自分の状況に合わせた計画を立てることが大切。かしこい妊活のために、テックを活用してみるのも一案といえそうです。

構成=浦上藍子 写真=iStock.com

吉川 雄司(よしかわ・ゆうじ)
ヘルスアンドライツ 社長

妊活や不妊治療に取り組む夫婦をサポートする事業を展開。クラウドファンディング「妊活大事典プロジェクト」発起人。相談できる生理管理アプリ「ケアミー」を運営中。