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膀胱は「心の鏡」。ストレスで過活動膀胱や、膀胱炎などを発症も

尿トラブルを抱えるのは、男性よりも一般的に女性のほうが多い。どんな症状に悩むのか、泌尿器科専門医の吉原秀樹先生に伺った。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/spukkato)

「圧倒的に多いのは膀胱(ぼうこう)炎です。女性は尿道の長さが3cm程度と短いため細菌が侵入しやすい。特に急性膀胱炎は、体の抵抗力が落ちているときや排尿をガマンしすぎたとき、性交渉後に発症しやすいです。膀胱は無菌状態ではありません。適度な排尿で細菌は常に排出されますので、膀胱炎の予防には排尿をガマンしないことがいちばん。ちょっと変だと思ったら、ふだんより水分を多めに摂取し、排尿回数を増やすのも有効」

急性膀胱炎は、若い女性から中高年まで年代問わず発症するそうだが、下腹部の不快感などが持続する慢性膀胱炎は、40歳以降の女性に多くみられるという。

「慢性膀胱炎は細菌が原因ではない場合も多く、心因性や女性ホルモンの低下なども関連しています」

細菌性ではない場合には、抗生剤ではなく、漢方薬や膀胱の刺激を抑える薬、生活習慣の改善やホルモン補充療法などで治療改善することができると吉原先生。

また、女性の尿トラブルの相談では、膀胱炎以外に「過活動膀胱」「尿失禁」なども多いそう。

「過活動膀胱や尿失禁は中高年だけのものではありません。出産経験のある20代、30代でも悩む人はいますし、未産婦の若い女性でも心理的要因があったり、便秘や喘息などでも症状が現れます」

会社のトイレが少ない、トイレに行く時間がないなどの環境ストレス、さらに尿を漏らしたなどの過去の失敗へのトラウマが、膀胱の動きをかえって過敏にし、過活動膀胱に伴う切迫性尿失禁を引き起こすこともあるそう。

「尿失禁は、加齢や出産による筋力低下に起因するもの、膀胱に関連するもの、肥満や便秘など原因はさまざま。適切な治療のためにも専門医の受診がオススメです」

泌尿器科での内診はほぼなく、問診、尿検査、腹部の超音波検診などが主。ほかの病気がトラブルの引き金になっていることもあり、さらには、膀胱炎から重篤な病気に移行することも。恥ずかしがらずに早めに受診したい。

※骨盤臓器脱(尿道口、膣、肛門から内臓が飛び出る)などの症状の場合は、内診する場合もある。