『女王陛下のお気に入り』

痛風に悩み、痛みで移動もままならないアン女王(オリヴィア・コールマン)と、幼なじみで女官長を務めるレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)。二人の関係とは……。©2018 Twentieth Century Fox

18世紀のイングランドで起きた、禁断の物語――。幼い頃から病弱なアン女王が統治するイングランドは、ルイ14世のフランスと交戦中。17人の子どもに先立たれた孤独の女王に寄り添うのは、幼なじみで女官長のレディ・サラ・チャーチル。サラは、アン女王を意のままに操り、絶大な権力を手に宮廷を取り仕切っていた。そこへ、サラの従姉妹である、アビゲイルが現れる。上流階級から没落し困窮していたアビゲイルは、サラに頼み込み、召使いとして雇ってもらうことに。女王の寵愛を巡り、二人の女の駆け引きがはじまる――。

名女優3人の迫真の演技が凄い!

覇権争いは、何も男性に限った話ではない。豪華絢爛な宮廷の中でも、女王の側近女性たちによる、地位と権力を巡る争いがあったのだ。映画『女王陛下のお気に入り』は、そんな女たちの権力争いを煌びやかな舞台や衣装とともにスリリングに描いており、「え?」「そういうこと?」と、次から次への驚きの展開で、最後まで目が離せない。

信じられないほど多く(17人!)の子どもを失った、虚弱で孤独でわがままなアン女王を演じるのは、オリヴィア・コールマン。女王の幼なじみで、アン女王と友情以上の関係を武器に自らの思うままに権力を振るうレディ・サラ・チャーチルには、レイチェル・ワイズが。そして、没落したものの貴族への返り咲きを狙うしたたかな侍女アビゲイルを、エマ・ストーンが演じている。オスカーやゴールデングローブ賞などを受賞した実力派3女優が集結し、3人の複雑な関係性と、権力を巡る駆け引き、人間の欲望を迫真の演技で見事に表現している。