なぜ元日テレ社員は落語を楽しめる小料理屋を開いたか

東京・秋葉原に「やきもち」という店がある。お酒や料理とともに生の落語を楽しめる小料理屋だ。店を1人で切り盛りするのは、日本テレビでディレクターをしていた中田さん。朝の情報番組を振り出しに、ドラマ、バラエティとさまざまな現場を経験してきた。

(左)落語・小料理「やきもち」女将(おかみ) 中田志保さん 38歳
(右上)旬の食材を使った料理が好評で、落語にちなんだメニューを出すことも。
(右下)席数はカウンター席を含め26。落語会を開催するのは火曜日と日曜日の週2回。

「ドラマ志望だったので、バラエティに異動になったときは、毎日非常階段で泣いていました」

そんな中田さんに笑顔が戻ったのは34歳で「笑点」の担当になったとき。落語と落語家の魅力にはまり、プライベートでも近所のバーに頼まれて落語会のセッティングをした。公私ともに落語漬けの幸せな日々だったが――。

「35歳で編成部に異動になってしまって。そこは、番組のタイムテーブルを作るデスクワークだったんです。私には無理……と、退職を決意しました」