Case 2:軽く見られないよう、上司の威厳を示す

▼ボスのマネージングアップこそ、部下を動かす鍵

上司として権威を振りかざすようなことはしたくない」というのが3人に共通した回答だった。

とはいえ、「部下が反抗的で困っている」「女だからなめられている」といった悩みはよく聞く。部下を効果的に動かす、上司らしい立ち居振る舞いについて考えてみたい。

野村さんの場合、誰も知らないトリビア的な知識をさりげなく披露することがある。客先で感心されれば部下も誇らしい気分になるだろう。

ただし、中原さんによると、もう1つ有効な手段があるようだ。

「効果的と思われるのは、ボスをマネージングアップすることです。上司がアッパーリーダー(自分よりさらに上位の人間)と良好な関係であればあるほど、部下との関係もよくなり、部下を効果的に動かせます」

この人についていって大丈夫かな――と、部下は常に上司を観察している。その部下から、不満の声が聞こえてきたら、どうすればよいか。

松田さんの場合は、本人が負担に感じないよう、全員の意見を求める場を設けたうえで、真意を確かめるという大人の対応。

「部下の真意を確かめるのはよい方法です。ただ、全員の意見を一致させるのはなかなか難しく、白けはどこかに生まれます。その場合、無視してよい白けと、無視してはいけない白けを見極めることです。前者なら、腹をくくってやり過ごすのもまたマネジメントです」(中原さん)

では部下に振った仕事を「ムリです」と拒否された場合はどうか。

森上さんは、まずできない理由を本人に聞いてみるが、「ただのワガママなら許さない」とバッサリ。

「この対処法は非常に正しい。実は本人も何が無理なのかがわかっていないケースが多いのです。理由を因数分解して、一緒に向き合うことがポイントです」(中原さん)