スペースを使い分けて、ビジネスランチ上級者に
リストランテ「インカンティーナ」

ランチコース2500円に国産牛イチボのビステッカ(2000円)をプラス。松橋ひらく料理長のスペシャリテは、目にも鮮やかなジェノバペーストのパスタ。バジリコの風味が鮮烈。ランチを印象的なものにしてくれる。

広尾にあるイタリア料理店「インカント」。イタリア各地の郷土料理のおいしさに加え、料理ごとにイタリアの土着品種のワインの組み合わせをバイ・ザ・グラスでレコメンドするサービスでも知られている。そのインカントが、東京ガーデンテラス紀尾井町に3つのスタイル(リストランテ2店とバーラウンジ)で進出。本店のインカントよりカジュアルにランチコースが楽しめる、リストランテ「インカンティーナ」は、そのひとつだ。

本記事では、ビジネスランチには個室のある店を推奨しているが、こちらに個室は無い。しかし、ちょっと違う角度からアプローチできる魅惑のリストランテなのである。

インカンティーナはテラス席があり、併設するもうひとつのリストランテ、サロット「カンティコ」にはバーラウンジがある。窓が大きく、明るく開放的なインカンティーナでランチを楽しみ、デザートとコーヒーをテラス席で、あるいはバーラウンジに移動してゆったりと、新たなドリンクとともに商談を仕切り直す、というスマートで個性的なもてなしが可能だ。

さて、インカンティーナのランチはコース2500円のみ。前菜盛り合わせにプリモピアットが2皿、ドルチェとカフェといった構成だ。ユニークなのは2皿あるプリモピアットで、必ずジェノバ名物の“トゥレネッテのバジリコペースト和え”が供されることだ。

これは松橋ひらく料理長のスペシャリテで、鮮やかな緑色のジェノバペーストは香りがすがすがしい。もちもちとした食感が魅惑的な手打ちバスタとの相性は、これ以上はないだろうとさえ思わされる。「ジェノバで修業したときにこのソースに出合い、僕自身も感動したんです。色が美しく、非常になめらかで、なんておいしいんだろうと。そのときの驚きをこの一皿に込めています。これだけは譲れませんね。乳化させる方法に秘密があります」と松橋料理長。

また、ランチコースはプラス料金でセコンドピアットを追加できる。取材した日は、牛タンとトリッパのトスカーナ風煮込み+1000円、国産牛イチボのビステッカ+2000円が用意されていた。うれしいことに半分ずつ食べたいなどのオーダーにも応じてくれ、盛り分けてくれる。時間に余裕がないけれど少し食べたい、両方とも食べたいなど、きめ細かく対応してくれるので、相談してみるといい。

個室でイタリアンを希望する向きは、バーラウンジを挟んで反対側のサロット「カンティコ」に4室の個室がある。カンティコのランチコースは、一口前菜、前菜、プリモピアット2皿、肉料理、ドルチェで6500円。時間に余裕がない方や小食の方のために、ショートコースの3皿コース(前菜、プリモピアット、ドルチェ、カフェ)3800円と、4皿コース(前菜、プリモピアット、肉料理、ドルチェ、カフェ)4500円の2種がある。

料理とワインの相性を知り尽くすリストランテだけに、インカンティーナではワインも楽しみたいところ。常時30種類以上を揃えるというグラスワインとのマリアージュでビジネスランチを盛り上げたい。満ち足りた時間はサクセスへと向かう予兆となるに違いない。

テラス席もあるリストランテ「カンティーナ」。桜並木のあるお堀に面しているため、春は桜、夏は木々の緑と四季を楽しめる。食後にバーラウンジ(写真右)に移動して商談に入るなど、メリハリの効いたビジネスランチをセットできる。

ランチコース2500円
前菜盛り合わせ
・カボチャのトルタ アマレット風味
・「レボーニ社」パルマ産生ハムとサルビア風味のフリッシェウ
・トスカーナ風パンと野菜のサラダ「パンツァネッラ」
・フィレンツェ風地鶏レバーのブルスケッタ
トゥレネッテのバジリコペースト和え
自家製リガトーニ ポルチーニ茸のトマトソースで
ズッパ・イングレーゼ
現地の風を感じるコーヒー

+2000円
国産牛イチボのビステッカ

■インカンティーナ
東京都千代田区紀尾井1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井テラス3階(達磨坂テラス)
TEL.03-6256-9752
[営]11:00~14:00(L.O.) 17:30~21:00(L.O.)
オステリアタイム 20:30~23:00(L.O.)
個室なし/英語メニューあり/ベジタリアン対応可(要事前予約)/貸切可/分煙
ホームページ http://cantico.jp/
(文/斎藤由利子 撮影/石井雄司)