一言で「主夫」といっても、家事の分担度はさまざま。兼業主夫2人と専業主夫1人の24時間に迫りました。キャリアを築きながらプライベートも充実させる、時代の先取り夫婦の知恵がつまっています。
中村シュフさん
【仕事】夫:主夫芸人 妻:専門職【家族構成】夫、妻、娘2人【家事分担率】9:1
中村シュフさんは、主夫のかたわら、“パート”で主夫芸人としてメディアに登場し、さらに家庭科の教員免許を持つという異色の経歴の持ち主。
「高校は男子校でしたが、僕が入学する前年の1994年から、高校の家庭科が男女必修になったんです。担当の先生の『これからは男性が家庭科を学ぶ必要性が高くなる』という言葉がすごく心に響きました」
大学は家政学部に進学。教員も考えたが、「若いうちにチャレンジするなら」と芸人の道を歩むことを決める。
「2006年にM-1グランプリの準決勝まで進み、仕事につながるかな……と思ったけれど、そんなに甘い世界ではなくて。10年にコンビを解散したあと、どうしようかと考えあぐねていたときに、ずっとお付き合いしていた彼女が『家庭に入ってもらえませんか?』と言ってくれた。すぐ『ふつつかものですが』とお引き受けしました」
こうして家庭に入った中村さん。朝5時のお弁当づくりに始まり、夜、娘2人を寝かしつけるまで、“シュフ”の一日は休む暇もない。「女性の主婦とやってることは一緒」と笑うが、男性ならではの利点も。
「女性は夜中に出歩くと危ないし、周囲の『何してるんだろう?』っていう目も気になりますが、主夫は平気。子どもを寝かし、妻が帰宅した後に買い物に行くんです。子どもを連れての買い物って、身支度も、自転車の乗り降りも、めちゃくちゃ大変なんですよ」
近ごろは、雑誌への連載や講演会の依頼なども増え、家政学や家事の話を面白おかしい切り口で伝えている。
「103万円の壁と闘いつつ、扶養範囲で静かにやっています(笑)」という中村さん。取材などで外出の必要がある場合は、妻が休みの土日にスケジュールをまとめる。「ただ、地元ケーブルテレビのレポーターの仕事は平日なので、そのときは妻のお母さんに応援に来てもらい、長女が幼稚園の間、下の子だけ見てもらっています」