目的を考えて、条件を再構成する
「カオルさんは、子育てを考えているのですよね」「はい」「では、安心して子育てをできるならば、“普通の男性”という条件を満たす必要はありませんよね?」「まあ、そういうことになりますね」
「“普通の男性”という条件の中で、まず削れそうなのは、“首都圏在住”ですね。今のお仕事をやめなければいけなくなるかもしれませんが、その分、地方在住で年収が高めの男性という選択肢もありますよ」「地方ですか……。今の仕事をやめることはちょっと考えられません」「では、“首都圏在住”のままでいきましょう」こうやって、目的に応じて必要な条件、不要な条件を洗い出し、修正していくことが大切なのだ。
「カオルさんが今のお勤め先で働き続けるならば、お相手の年収は350万円でも大丈夫じゃないですか? お相手に望む年収を50万円減らすだけで、アラサー女性との戦いをかなり避けられます。月収に換算すると、年収400万円の人との差は4万円くらいです。それならどうですか? 年下の男性もターゲットにしやすくなるというメリットもあります」「それはいいですね。男性の働ける年数も長くなりますしね」
このように、自分にとっての譲れない望みである「子育てが安心してできる」ための条件を再構成する。“普通の男性の条件を全て満たす人を選ぼうとしたら大変な戦いを強いられる。みんなと同じことをするから、結婚相談所に入会しても9割が結婚できないという事態に陥ってしまうのだ。
結婚とは結局、その人を愛することができるかどうかで決まる。だから、その人の人柄とは関係ない、また自分にとって重要な意味を成さないところで無駄な戦いをする必要はない。
相手に望む条件を挙げることは、決して悪いことではない。私の経験から言うと、条件を挙げられる人の方が、結婚が決まりやすい。自分にとって譲れないことは何なのかをしっかりと見極め、絞り込むことが、幸せへの第一歩と言える。読者の皆さんが、お互いの希望をかなえ合えるようなパートナーと巡り会えることを、心より祈っている。
※今回で連載「仕事は得意だが、婚活がうまくいかないあなたに」は最終回となります。ありがとうございました。
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。