ブルボンヌさん(女装パフォーマー)、光浦靖子さん(タレント)、松本晃さん(カルビー会長兼CEO)が、交代でお悩みに回答する本連載。仕事や私生活でモヤモヤしていることを一緒に解決してくれます。今回の回答者はブルボンヌさんです。
ランチの帰り、捨て犬救済の街頭募金にお金を入れました。すると、一緒にいた同僚があきれたように「ああいうのは詐欺だよ」と言うのです。募金は本来の目的に使われることなく、運営者の懐に入っているとのこと。事実なら許せませんが、確かめるすべもなく、モヤモヤしています。[29歳・事務・tsubasa]
中途半端に手を出すものじゃない
以前、関西で難病支援の募金活動をしていた団体が詐欺で捕まった事件があったわね。そこは累計4000万円くらい荒稼ぎしてたんだって。
くやしいけど、子ども、動物、難病、災害……そういうのを利用して、人の良心につけこむ輩やからは実際にいるのよ。
「街頭募金は全部インチキ」とまでは言わないけど、まともな使われ方をしてるかどうか、確かめにくい募金スタイルであることは確かね。
だけどあなた、募金の使途が気になるなら、団体名を聞いて、自分で調べることもできたんじゃないの? それに、捨て犬を本気で助けたいなら、里親センターへ行って、保健所にいく直前の犬を引き取って救うことだってできるわけじゃない。
そういう行動には至らず、小銭を入れる程度ですませてるってことは、結局のところ、「いいことをした自分」を確認したかっただけなんじゃない?
同僚さえ余計なことを言わなければ、あなたは心の中で1匹の犬が救われた光景を想像して、いい気持ちになれたのよね。まあ、今となっては、疑念のほうが大きくなっちゃったわけだから、もう街頭募金はやめたほうがいいと思う。街頭でヒョイと入れたお金で捨て犬が確実に助かって、自分がより高次元な存在になれる――なんて都合のいい話はないの。
厳しいことを言うようだけど、「詐欺かもしれない」ってだけでモヤモヤして、得体(えたい)の知れないオカマに相談しなければならないほど、あなたの良心はちっぽけだったってことよ。
そもそも募金とかチャリティーって、中途半端に手を出すものじゃないと思うの。やるんだったら、だまされる覚悟でやるか、だまされないよう徹底的にその団体を調べあげる努力をするか、どっちかにしないと。
私は疑い深いほうだから、めったに募金ってしないんだけど、東日本大震災の後、女装仲間とチャリティーイベントをやったのよ。百数十万円の売り上げがあって、それを日本赤十字社に送ったの。下ネタでこさえたお金ではあるけど、きちんと役に立つように使ってほしかったから、窓口は名門中の名門を選んでみたわ。まあ、それですら100パーセント信頼できるかと聞かれたら返事に困るんだけど、決めた以上、自分から疑うことはしない。だって、こういうことって疑いだしたらキリがないでしょ。そこで満足しておかないと、自分の気持ちがもったいないわ!
【ブルボンヌさんからのアドバイス】
中途半端な良心でチャリティーに手を出さないで
女装パフォーマー、エッセイスト。「週刊ニュース深読み」(NHK総合)、「ノンストップ!」(フジテレビ系)等に出演。ラジオパーソナリティーも務める。
構成=中津川詔子 撮影=遠藤素子