義両親への批判ではなく、夫婦の価値観をすり合わせる

【河崎環さんの回答】

浪費家の義父母に、遊興費に消えるだけとわかっている仕送りをしようと旦那さんが考えるようになった経緯がわからないのですが、おそらく当の息子たる旦那さんはその仕送りが遊興費に使われると理解していないのか、あるいは「浪費」や「遊興」に対する心理的な抵抗がないのでしょうね。ご相談内容を拝見して感じるのは、あなたのご実家と旦那さんのご実家の間のそういった「ゆるさ」、換言するならば「いいかげんさ」への受容度の違いです。

それは双方の実家の文化の違いであり、あなたと旦那さんの間の文化の違いでもあります。あなたは旦那さんのご実家が持つゆるさを好きではなく、シビアに家計管理をしたり身の丈に合った質素な暮らしをしたりすることに価値を置いている。そしてそれに気付いてくれず、情でものごとを判断し、自分のゆるさに反省もない旦那さんに苛立っているようです。特にお金の使い方というのは生き方全般の生理的なものでもあり、あなたが許容しがたいと思うのはよく理解できます。

両家の生き方や文化が異なるのは、いまさら仕方のないこと。でも、あなたと旦那さんが新しく築いている家庭においては、お互いが思い描くものをすり合わせて新しい文化を作るのですから、何が好きで何か嫌いか、どういった考え方ややり方は採用して何は不採用なのか、話し合いが必要です。義両親への批判は置いておいて、「この家庭においては、あなたの義両親のゆるさの影響を受けるのは困る。なぜなら、多少我が家に余裕があるのも、実際には私がシビアに家計管理をしているからなのよ。そういうことに使うお金ではないし、特にお金のことでは情に流されるとお互いに不幸だと思う」と、きちんとあなたの思うところをストレートに伝えると、あなた自身の胸のつっかえも取れるでしょう。旦那さんが仕送りをしようと思う本当の理由もそこで明らかにしてもらえば、建設的な話し合いができると思います。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。

文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行