「産まない」と宣言する重さは、母世代からの影響の強さゆえ
母世代からの影響の強さに戸惑うのは、いま子どもを産みたくても産めない女性たちたちだけではない。先日、女優の山口智子さんが「産まない人生」宣言をしたことが話題になったが、子どもを持ちたくない、産む意思がない女性からは、その理由として「母との確執」「幼い頃の経験から、自分が子どもを産み育てたいと思わない」などの声が上がっている。そこには、まるで母世代の借金を娘世代が一生かかって払うかのような、上の世代の女性が下の世代の女性に負う責任の重さ、何かの連鎖を感じさせられる。
女を育てるのは、女だ。下の世代の女たちに恥ずかしくない人生を、私たちは歩んでいるだろうか。捨て石になったのは、産みたくても産めなかった女性だけじゃない。人生の悔いなら、誰もが持っている。自分たちができなかったからと、何か奇妙な負債を下世代へ渡してはいないか。今となっては娘を持つ母として、私は自分に問うている。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。