「誰もが結婚していた、少しおかしな時代」。それは、結婚という形に「生き残る/生き延びるため」の社会契約がかぶされ、結婚で人間的信用が一部担保されていた過去の習慣だったのかもしれない。結婚と出産が「動物として正しい行動」のようにニコイチ扱いされるのも、高度な動物たる人間社会としてはそろそろ次の価値観に移っていい頃だ。最近は少子高齢化社会を前提としたロボット工学や人工知能の現場取材などをすることも増えているのだが、「今後生まれてくる子どもはロボットやAI以上であることがボトムラインになるわけだよなぁ」と、なんとも皮肉な気持ちになる。

2015年に大ブームを起こした「女性活躍」や、それとは一見趣旨を異にするかのようでありながら切実な「婚活」というタームを、2016年はどんな言葉が更新していくのだろう? そんなことをぼんやり考えつつ、いつもの調子で腰痛を気にしながらPCの前に座って原稿を書き出す2016年の正月。東京オリンピック・パラリンピックまであと4年、そしてリオデジャネイロオリンピックの2016年がいよいよ開幕だ。とにもかくにも皆さま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

河崎環(かわさき・たまき)

フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。