自分をケアするタイミング
【河崎環さんの回答】
あなたは「いま」人生に退屈しているようです。「休日には食事も作ってくれる、誠実で温厚で善良な夫」に「いいひと」以上の何か、そして人生に「いま」以上の何かがないと楽しくない。では安定や平穏とは趣を異にした、何かの刺激があれば満たされるのか。それは本当に夫婦の問題なのか、それとも自分の人生の問題なのか。実のところ、旦那さんとの将来を不安に思っているうちは、まだ「2人の関係」がちゃんと視野に入っています。多分、お子さんが8歳と6歳になり、エネルギーを吸われてばかりだった子育てが一息つく段階に入って、あなたはふと自分の中の変化に気づいたのでしょう。そろそろ、自分をケアしてあげたい時期ですね。
「いま」に退屈してしまったときは、頭の中で旅に出る(安い方法)か、実際に旅に出ましょう(高い方法)。現在の自分の条件や制約を一度すべて取り払って、ただ勝手な将来を思い描いてみましょう。10年後、あなたは何歳で、何をしていたいですか。立派な夢、卑近な夢、荒唐無稽でもいいのです。あるいは可能なら、試しに気候も言葉も何もかも違う、今の暮らしとはかけ離れた場所へ1人でも家族とでも旅に出てみましょう。惰性では生きられないヒリヒリした非日常の中で自分が何者かを知ると、自分が更新され、五感が開き、人のせいにしたり、人生が退屈だなんて思ったりできなくなります。その上で、もう一度ご自分の家族に目を向けると、別の風景が見えるものですよ。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。
文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行