早期発見タイプ? 進行がんタイプ?
最近、保険市場では「上皮内新生物」を保障対象にする商品がほとんどですが、黒田さんは「すり傷保険は要らない」とばっさり。
上皮内新生物は、悪性新生物(いわゆる“がん”)と違って、浸潤や転移の可能性がほとんどありません。適切な治療を行えば悪性化=がん化することもなく、治療費も預貯金で賄える範囲です。ただし、女性は要注意!
上皮内新生物が多く観察されているのは子宮頸部といわれています。
「子宮頸部の上皮内新生物である高度異形成と診断され、給付金を受け取ってすぐに、別のがんと診断された場合、給付金が受け取れない可能性もあります。複数回払いの診断給付金の条件の多くは2年に1回ですから。お金が必要なときに給付金がもらえない。これは本当に怖いことです」
保障はがんの治療費だけでいい、と腹をくくることが必要かもしれません。
がん保険選びの秘訣(ひけつ)は、自分のライフスタイルを考えること。こまめに検診を受け、摂生している人は早期発見・治療の可能性が大。治療費も再発リスクも抑えられるので、初年度の診断時給付金が100万円くらいあれば安心。一方、忙しくて検診にも行けず、ストレス過多な人は、進行がんで発見される可能性が高く、治療は高額・長期に。再発・転移を視野に入れた手厚い保障(保険料も高くなります)が必要です。さて、あなたはどうでしょうか。
「がん保険は、保険料というコストをかけてがんの治療費を確保するための時間を節約する商品です。最悪の事態を考えて準備をし、その後は最善の状態を考えて生活してください」
アンケート協力=NTTコム オンライン(25~45歳の仕事をもつ女性1070人が回答。調査期間は2015年4月24日~27日)
CFP(R)、1級FP技能士、NPO法人CNJ認定乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員。2015年7月より聖路加国際病院でがん経験者向けの「おさいふリング」を開催。がんとお金の問題を解決する活動に携わる。◆問い合わせ先:聖路加国際病院相談支援センター 医療連携室/がん相談支援室(本館1階14番) /メール:gansoudan@luke.ac.jp
イラスト=イナキヨシコ