HBOCと卵巣がん

●卵巣がん:遺伝的関与があるのは5~10%。近親者に卵巣がん患者がいる場合、いない人に比べ発症率が高いとされる。出産歴がない場合も発症リスクが高まる。

日本女性が生涯に卵巣がんにかかる確率は1.1%、87人に1人の割合です。自覚症状に乏しく、進行してから発見されることが多いため治療は厳しいものになります。

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女性特有のがん4種の年齢階級別罹患率(全国推計値:2010年)

また、卵巣がんの5~10%はHBOCと関連しています。母方か父方に乳がんを発症した人が2人以上いる、2親等以内に卵巣がんを発症した人がいる、などの場合は遺伝子検査もリスク管理の選択肢のひとつ。検査費用は20~30万円で、検査前の遺伝カウンセリングは1回8000円~1万円です。

「もし遺伝子異常が発見された場合、HBOC卵巣がんを予防する理想の方法は、妊娠・出産を終えた時点で卵巣と卵管を切除する“アンジーの選択”(http://woman.president.jp/articles/-/623)です。というのも、卵巣がんは早期に発見することが困難だからです。したがって、すぐの手術が難しい場合は、30歳から半年に1回は婦人科検診と血液検査を受け、早期発見・治療を意識してください」

欧米では予防手段として、低用量ピルの服用が試みられています。排卵刺激を抑制し、卵巣を保護する効用が期待できます。