その一般的な知名度以上に、企業からの評価と注目度が高い事業エリア――。そんな佐賀県の優位性はどこにあるのか。山口祥義佐賀県知事に聞いた。
山口祥義●やまぐち・よしのり
佐賀県知事

平成元年、東京大学法学部を卒業し、旧自治省(現総務省)に入省。内閣官房内閣安全保障・危機管理室参事官補として災害現場の最前線を指揮。また、総務省過疎対策室長として日本の過疎問題にも取り組む。秋田県地方課、鳥取県商工労働部長、長崎県総務部長なども歴任し、平成27年1月、佐賀県知事に就任。

日本で最も地震が少なく“人財力”への評価も高い

災害など不測の事態が発生しても、重要業務を中断させないためのBCP(事業継続計画)。取引先や顧客からの“信頼の確保”に直結するその策定は、いまや大企業、中小企業を問わず、大事な生き残り戦略の一つだ。

そうした中、まさにBCPの観点から見逃せない地域として、企業が立地先の候補に挙げる自治体がある。佐賀県だ。理由はどこにあるのか。山口知事は次のように説明する。

「まず何より、災害リスクの低さ。これをご評価いただいています。特に地震については、日本で最も少ないのが我が県。震度1を含めても年間に数えるほどしか発生しません。南海トラフ地震による津波被害想定もゼロ、加えて風水害の被害も少なく、ほかにはなかなかない環境の提供が可能です」

確かに事業の継続性を考えたとき、自然災害は最も予見しにくいリスクの一つ。その意味で、佐賀県は企業にとって希少なエリアといえるだろう。

ただもちろん、多くの事業者がこの地に関心を寄せる理由は、地理的特性だけではない。すでに進出している企業からの声によれば、その“人財力”の高さも大きな魅力だ。「業界平均に比べ、離職率が圧倒的に低い」「皆、まじめで勉強熱心」「従業員にまとまりがある」といった具合である。

「私たちが人づくりで大切にしているのは、社会と連携できる“実践的な人財”の育成」と山口知事。佐賀県ではそうした人財力にいっそう磨きをかけるべく、今年、10億円の「ものづくり人財創造基金」を設置した。今後、教育現場へのアプローチも含め、多面的な事業を展開していく計画だ。