自転車文化が
あってこそ
シマノには、「チームシマノ」という言葉がある。異なる文化や言語の違いを超えて全員が一つになり、一番いいものを一番いいところから集めて“SHIMANO”というブランドを作り上げる全体最適の精神でもある。
世界を舞台にチームシマノが戦った結果、今や世界の名だたる有力自転車メーカーの自転車に必ずといっていいほどシマノのパーツが採用されている。
従業員800人ほどの小さな自転車部品メーカーが、独自の技術を磨き上げ、シンガポールでの海外生産拠点設立を足がかりに、2014年末には連結売上高3331億6800万円、全世界従業員数1万3342人の一大グローバル企業に成長を遂げた。
その意味でシンガポール進出は、世界に飛躍するスプリングボードの役割を担った。
その飛躍の過程でシマノは、同国の海外企業誘致を担う政府機関、シンガポール経済開発庁(EDB)とも深い信頼関係を築いている。そのため、インドネシア工場やマレーシア工場を設立する際も「いろいろな相談に乗ってくれましたし、EDBが窓口になってバックアップしてくれました」。
背景には、シマノのシンガポール進出以来の長い信頼関係があった。島野氏は、「何事も誠意を持って取り組むのみ」と語る。
そんな同国とシマノの友好関係を象徴するものの一つが、「シマノサイクリングワールド」だ。自転車がテーマの体験型展示施設で、14年9月にオープンした。
「シンガポール政府が作ったスポーツハブというドーム競技場付きの複合施設の一角を割り当ててもらいました」
東南アジア全域を対象に、自転車文化の発展や自転車のあるライフスタイルづくりを促進する役割を担う。
「もっともっと世界に自転車文化を広めていきたいんですよ」
島野氏が熱く語る。
「今後、もう少し東南アジアの市場が大きくなればいろいろな国にこういう自転車文化発信の施設を展開していきたいなと思っています。自転車の楽しさを知ってもらいたいんです。自転車文化が発展してこそ、われわれも存在できるのですから」
「こころ躍る製品」――。島野氏が日頃から口にしている言葉だ。自転車の楽しさ、自転車文化の奥深さを少しでも広げたいという思いで、革新的な製品を世に送り出してきた。
自転車文化にわくわくしてほしいという願いが「こころ躍る」に込められているのだろう。
シマノがいち早く世界を見据えて蒔いてきた種は、「こころ躍る製品」を通じて、世界各地で開花し始めている。
シンガポール経済開発庁(Singapore Economic Development Board:EDB)は貿易産業省傘下の政府機関で、シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、海外20カ所以上に事務所を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、進出に際してはさまざまなサービスを提供しています。日本には、東京に事務所を構え、日本企業のシンガポール投資をサポートしています。
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シンガポール経済開発庁 https://www.edb.gov.sg/content/edb/ja.html
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