魅力ある空間で
潜在的なニーズを探る
セレコーポレーションでは、もう一つの主力商品「フィール」も展開中だ。こちらは25平方メートルながらリビングとは別にベットルームとして使えるスペースを確保。35平方メートルの1LDKにも匹敵する室内空間が好評を得ている。
首都圏で入居ニーズの高い単身者層にターゲットを絞り、その嗜好を分析。その上で「フュージョン」「フィール」といった独自の商品を生み出し、長期安定的なアパート経営を創り上げていく。これが同社の強みだろう。
セレコーポレーションの基礎をなす独自の設計思想、意欲的な事業姿勢は、「魅力ある空間で自分の暮らしを変えたい」など潜在的に引っ越しを考えているゲストに新たな“気づき”を与えている。同社では、それを加速するために、自社の所有物件を中心とした「My Style」シリーズで新たな暮らし方も提案中だ。また、ゲスト目線の空間づくりは先頃、都内の女子大との連携プロジェクトへと進展した。今夏には学生の斬新なアイデアを取り入れた部屋も登場する予定である。
多様なアイデアを盛り込んだ物件で得られた知見やデータについては、収集・分析し、新たな商品やサービスを創造、それをフィードバックすることで、オーナーの資産価値向上やゲストの満足につなげていく考えだ。
そしてもう一つ、「仲介会社の専任化」もユニークな試みだろう。同社の理念や物件を深く理解する業者を専任化とすることで、リーシング活動の質の向上を図り、ゲストから納得した付加価値賃料をいただくことを目的としている。今後は、専任業者向けの販促ツールの共有化なども進めていく予定だという。
入居希望者が
列をなす状況を
単にアパートを建てるのではなく、ゲストが快適に暮らせる「感動空間」を生み出すことで、競合物件より高い賃料を実現。その結果、持続可能なアパート経営を創出し、オーナー、ゲスト、そして社会に価値を提供していく。このセレコーポレーションの事業サイクルは、今後のアパート経営に求められる一つの形といえる。
「まず重要なのは、やはり魅力的な空間づくり。これが空室リスクや家賃下落を防ぎ、経営を安定させます。加えて当社では、オーナー様向けのセミナーも開催し、経営の持続性をバックアップ。専門家による資産価値向上のための施策や保険活用、法人化などの相談もお受けしています」(大西氏)
さらに同社は今春からゲスト向けのブランディング戦略を開始。「My Style」の専用サイトを新たに立ち上げ、そこに暮らす魅力を訴求している。3DのCGを活用したサイトでは、内見のバーチャル体験が可能。こうしたツールは、今後オーナーや仲介会社にも提供していく計画とのことだ。
「ゲストに最高の笑顔と感動を与える空間提供によって、当社物件に入居したいゲストが列をなす。そんな状況をつくっていきたい。それが資産価値の向上をもたらします。私たちは、いわば資産のコンシェルジュ。オーナー様の真のパートナーとなるのが目標です」(大西氏)
東京・京橋の同社ショールーム「セレイエ」は、地の利の良さもあり、年間約8000人が訪れる人気スポットだ。土地活用を真剣に考えているなら、一度、訪れる価値があるだろう。