「それに、旧モデルのスロープに比べて幅が広くなったということで、どんなタイプの車いすでも楽に昇り降りできそうですね。この幅の広さが、使い勝手にずいぶん影響するんです。左右に余裕があると、介護する側も、される側も、安心して昇り降りできます。介護のどんな場面でも大切な3拍子が『安全・安心・安楽』。新型ヴォクシー ウェルキャブは、それらをちゃんと提供してくれますね」
こう語る松尾さんが続いて注目したのは、床面近くにあるライト。従来は天井に付いていたが、車いすをフックで床に固定する際、手元をより見やすくするため、設置場所を移動した。
「私もデイサービスで働いた経験がありますが、車いすの適切な箇所にフックをかけなければならないのに、薄暗くて見えづらく苦労したものです。日常的に使うものですから、こうしたちょっとした工夫がうれしいですね。どんな介護製品もそうですが、使いたくなる道具には、そのための仕掛けが必ずあるんです」
車いすでの乗車場所は、2列目シートの左側にある専用スペースや、3列目シートを左右に跳ね上げてつくるスペースだ。同じ車種でも複数のモデルがあり、ニーズに最も合ったタイプを選べるようラインアップされている。
ファミリーカーとしても使え
車いすを乗せるのも簡単
一方、ウェルキャブの「普通のクルマ化」は、なんといってもスロープの前倒れ機能が決め手である。今年のモデルチェンジ以前は、たたんで収納したスロープがバックドアの前に直立。つまりバックドアの開口部は大半がふさがれる、という課題があったのだ。
「今回は、前へ倒して、床に固定できる新機能のおかげで、ラゲッジスペースに普段の買い物の荷物などを簡単に入れられる」と松尾さん。
さらに2列目の車いすスペースには、後付けセカンドシートのオプションも用意されているため、車いすを使用しなくなった場合には、まさに「普通のクルマ」として活躍してくれるのだ。
ハートフルプラザ名古屋の見学を振り返って、松尾さんはこうも言う。
「今日の介護では、できることはなるべく自分でしてもらう、自立支援の要素を大切にします。その意味からも、なるべく外へ出かけるに越したことはありません。クルマの存在も大事な要素ですね。マイカーならば自由に使え、外出機会も増えるでしょう。それがきっかけで、前向きな気持ちを取り戻し、心身の状態が少しずつ改善される例もあるのです」
クルマに求めるものは、家族によってさまざまだが、新しくなったノア&ヴォクシー ウェルキャブであれば、普段はファミリーカーとして利用しながら、必要なときは車いすに乗った人を容易に乗車させることが可能。家族全員の快適な移動をサポートしてくれる。もちろん、足腰の弱ってきた高齢者などがいる家族にとっても心強い。
「普通のクルマ」としても使えるように進化した新型ノア&ヴォクシー ウェルキャブ。実際のクルマを目の前にすれば、きっと福祉車両のイメージが大きく変わることだろう。