今年1月、トヨタのミニバン、ノアとヴォクシーがフルモデルチェンジ。それぞれをベース車にしたウェルキャブ(福祉車両)にも、ユーザーの声が一段と反映されている。介護の現場に詳しい松尾孝子さんがハートフルプラザ名古屋を訪問し、その機能やメリットを確かめた。

福祉車両を考える家族に
最適のモデルが誕生

松尾孝子●まつお・たかこ
看護師として大学病院の救命救急センターなどに勤務後、ケアマネジャー、訪問看護師として活動。専門学校で介護関連の講座の講師も務める。「親の介護・相談と自分の老後に備える会」に所属。

(株)日本自動車工業会によると、2013年度の車いす移動車(普通・小型)の販売台数は、08年度当時に比べ約34%も伸びた。社会の高齢化が進んで介護ニーズは高まり、福祉車両をもつ家庭も増えているというわけだ。

トヨタとトヨタ販売店が全国に9カ所運営するハートフルプラザは、トヨタの福祉車両であるウェルキャブの専門ショールーム。現に介護を行っている家族はもちろん、最近は、将来家族が介護状態になったときのことを考えて見学に訪れる家族も多いという。

バリエーション豊かなウェルキャブのなかでも、新型ノア&ヴォクシー ウェルキャブは、これまでにない多彩な魅力を備えたクルマといえるだろう。

この日、ハートフルプラザ名古屋を訪れた看護師でケアマネジャーの松尾孝子さんも、さっそく新型ヴォクシー ウェルキャブのスロープタイプ(車いすのまま乗車可能)を介護のプロの視点から細かくチェック。一つ一つにうなずくと、福祉車両でありながら「普通のクルマ化」していることも高く評価した。

「車いすをご利用の方が同乗しないときも、普通のファミリーカーとしてそのまま使えます。そこも支持される理由の一つでしょうね」

こまやかな配慮を尽くし
「安全・安心・安楽」を

新型ノア&ヴォクシー ウェルキャブのスロープタイプには、バックドアから外へ展開する折りたたみ式の手動車いすスロープが標準装備されている。しっかりとした作りだが、とても軽く、出し入れしやすい。このスロープを介助者が車いすを押して昇り降りする。エアサスペンションで車高が下がるため、勾配も9.5度とゆるやかだ。

加えて、オプションで電動ウインチなども追加装備が可能。電動ウインチを装備しない場合にも、標準装備のセーフティベルトがスロープで車いすが後退するのを防いでくれる。