高市政権は愛子さまに何を望んでいるか
しかも、皇族女性の場合には、個人として努力できる余地が極端に限られている。決められた枠のなかで行動するしかない。
内親王と女王との違いもある。三笠宮家の当主となった彬子女王は、一般社団法人「心游舎」で総裁を務め、その組織を基盤にさまざまな活動を展開している。テレビやラジオにも出演している。だが、そうしたことは内親王となれば、できそうにない。
佳子内親王でも、全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員を務めるかたわら、日本工芸会では総裁、日本テニス協会では名誉総裁の地位にある。
愛子内親王になると、どの団体の総裁や名誉総裁にもなっておらず、肩書は日本赤十字社の常勤嘱託職員のみである。
今回の皇室典範改正に熱心に取り組んだ、自民党の麻生太郎副総裁をはじめとする政治家は、いったい将来において、愛子内親王にどうなってほしいと考えているのだろうか。高市首相同様、まったくそれも見えてこない。
愛子さまの将来が映す日本社会の行方
つまるところ政治家たちは、女性皇族に内外の公務で重要な役割を果たすことを求めていながら、将来の立場にはまったく配慮していないのだ。
現在では、皇室典範の再改正を求める声も高まっているが、男女を問わない「長子優先」の皇位継承制度を現在の世代から適用すれば、愛子内親王は皇位継承順位第1位となり、皇太子と位置づけられる道が開かれる。
女性の皇太子は先例があり、聖武天皇と光明皇后の子であった阿倍内親王は皇太子になっている。そして、聖武天皇が譲位したことで、阿倍内親王は孝謙天皇として即位し、いったんは譲位して太上天皇となったものの、重祚して称徳天皇となっている。
将来において天皇に即位することが見込まれているのなら、その立場は明確で、当人もその覚悟で公務に臨むことができる。しかし、将来がはっきりと見通せないままでは、どこかで自分の立場について疑問を感じたり、迷いが生じてくるであろう。その点で、今、企業で精力的に活動している女性たちと、愛子内親王の立場は共通する。
愛子内親王の将来をどのように考えるか。それは、日本社会における女性全体に関わる事柄である。
なぜなら愛子内親王の将来は、日本社会が女性をどう処遇するかを象徴する問題でもあるからである。
放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。