アレルギーの原因を特定するのは難しいとされている。なぜ見つけにくいのか。昭和医科大学の鈴木慎太郎准教授は「原因は直前に食べたものや、起きたことだけとは限らない。過去に、海や山で刺されたり咬まれたりした経験が関係していることもある」という――。(第2回)

※本稿は、鈴木慎太郎『その不調、「かくれアレルギー」が原因かも』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

身体の不調を感じる男性
写真=iStock.com/entlelight
※写真はイメージです

アレルゲンの特定は謎解きレベルで難しい

毎週、多くの患者さんが私の外来を訪れます。アレルギー診療の難しさは、症状の現れ方が人によって大きく異なることにあります。同じ病気でも症状や重症度はさまざまで、同じ患者さんでも、そのときの体調や環境によって症状が変わることがあります。

アレルギーには「これさえ飲めば治る」という万能薬があるわけではありません。そのため、一人ひとりの生活習慣や生活環境を丁寧に確認しながら、症状を引き起こす要因を探り、対策を考えていくことが大切になります。

さらに難しいのは、アレルギーの原因が患者さんの日常生活の中に隠れていることです。何を食べたのか、どこへ行ったのか、どのようなものに触れたのか――。患者さん自身も気づいていないことが少なくありません。

そのため、アレルギー専門医は問診や検査の結果をもとに、わずかな手がかりを集めながら原因を探していきます。アレルゲンの特定は、しばしば推理小説の謎解きにたとえられます。さまざまな可能性を一つずつ検証しながら、本当の原因を見つけ出していくのです。

本稿では、食べてすぐには症状が出ず、しかも何年も前の出来事がきっかけになっていたアレルギーの事例を2つ紹介します。

50歳男性…前夜に食べた「納豆」で救急搬送

【納豆アレルギー 時間差で現れるアレルギー】

50歳の男性Dさんは、若い頃からサーフィンを続けている海好きです。ある日の夕食も、焼き魚や味噌汁、納豆など普段と変わらない献立でした。食後に体のかゆみを感じたものの気にせず就寝。しかし翌朝、全身にじんましんが現れ、動悸や息苦しさも出現。立ち上がった際に突然意識を失い、救急搬送先でアナフィラキシーと診断されました。原因は、普段から食べ慣れていた納豆による、時間差で起こるアレルギーでした。

納豆アレルギーは、大豆そのものではなく、納豆特有のネバネバ成分によって起こるアレルギーです。原因として注目されているのは、納豆の粘りのもととなる「ポリγグルタミン酸(PGA)」です。この成分に体が過敏に反応することで、じんましんや呼吸困難などの症状が現れます。

納豆アレルギーの特徴は、食べてすぐではなく数時間から半日ほど経って症状が現れることがある点です。そのため原因に気づきにくく、診断が難しい場合もあります。

この症例がわかりにくいのは、納豆を食べてすぐに症状が出るとは限らない点です。数時間から半日ほど経って発症することがあるため、原因が納豆だとは気づきにくいのです。