「今夜から一緒に寝ろ」と言われ…
しかし、鉄砲小路の家には私はほんの十日ほどしかいなかった。伯母はしんから嬉しそうにして、「ここは雄一の寝とる部屋じゃが、今夜からお前は、この部屋で雄一と一緒にお寝るんでよ」と言って、二つ列べて敷いてある寝床を指さしたが、私にはそれが、雄一の妻になったことだとは思えないのであった。その夜、二人は二つの寝床に列んで寝たのであったが、あのいつかの夕方、二人一緒に家までの道を歩いて来たときと同じように、一言の話もしないで眠ったのであった。まだ十三歳の花嫁であった私は、それでも自分のおかれた場所がおかしいのだとは思わないのであった。
雄一は翌日の晩もその翌日の晩も、着物を着替えて、毎晩のようにどこかへ出掛けて行き、なかなか帰っては来なかった。
